「「”これから”本でも、読みます。」」いつか読書する日 にゃろめさんの映画レビュー(感想・評価)
「”これから”本でも、読みます。」
岸部一徳と田中裕子は、
あえてこのキャスティングっすよね?
ジュリーこそ出てはいないが…。
本屋で自転車に乗るお互いの親を見かけて以来、
ミナコとカイタの時間は止まったまま。
止まったままなのでミナコは本を
買い続けるしかない。
ただ淡々と作業のように新聞を切り抜いて…。
カイタは一生地味に暮らすと心に決めるしかない。
止まっていた時間が30年ぶりに
動き出した瞬間に本棚を見たカイタは気づいてしまう。
想う人を孤独にしてしまった圧倒的で膨大な時間に。
止まっていた時間は動き出したと同時に”終わって”しまった。
もう作業のように本を買わなくてもよいのだ。
「これからどうするの?」
「これから、本でも読みます。」
50年過ごしたこの街を見下ろしながら、
離れない決心をした15の自分を確かめるように、
大きくひとつ息を吐くのだ。
このキャスティングは”あえて”かと思ったが、
あの飄々と何を考えているか不明な岸部と、
なにか捉えどころがなく本音を秘めているかのような田中は、
このキャスティングに最も相応しいと、
いや、この二人しかありえない。
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