「TVならチャンネル変えられてしまうから、映画?」容疑者 室井慎次 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
TVならチャンネル変えられてしまうから、映画?
自分たちで、それまでの作品の歴史を壊してしまっている。
チームワーク・組織とか、「事件は現場で起こっているんだ!」みたいな現場至上主義を語るんだったら、今回の事件解決は、密かに湾岸署や室井さんに関わる人からの情報提供があって事件解決に繋がるようにしてほしかったな。出演なくても「和久さんが掴んできた情報だけど」「SATが~」等の台詞で説明でもいいし。結局警視庁仲間の新城・沖田と公安が乗り出して事件解決って、上からの力頼みで、現場は命令待っているだけ。新宿署は派手場動きはしていたけれど…。なんなんだ。
唯一良かったところはスリーアミーゴズのみ。それだって、役者さんの力に負うところが大で、監督・脚本等の制作陣は何していたんだか。
この映画の予告を見て大いに期待した。『踊る~』はまったく知らなかったから、わざわざ『1』『2』と『真下』を見てから臨んだ。『1』も『2』も『真下』もバルーン映画(張りぼてばっかり大きくて中身がない)で、嫌な予感はしたけれど、主役は、あの”ギバちゃん”だ。気を取り直して、恐る恐る鑑賞。
はあ。
大風呂敷広げて、内容ないって、『踊る~』の特徴なんですかね?おちょくっていると言うか。風刺のつもりなんだろうか?
内部の出世争いを書いたつもりなのかもしれないけど、全然描かれていない。内部抗争を描いた作品にはすでに傑作が幾つもあるんだから、もっと気を入れて作らないと…。脚本書ける人いないのでしょうね。
さすが、ニュース報道部門があるTVの制作だけあって、犯人と訴訟に至る背景はいかにもありそうってな感じなんですが、ここも演出・脚本がダメすぎて、せっかくの良いアイディアが潰れてしまっている。
他のサイトのレビューにあるように、法的な点もでたらめばかりだし。
脚本だけじゃない。演出もなんていうか。
麗奈さん、へたっぽく見えるけど、他の映画の役どころと違う雰囲気の女性を演じていて、本来は色々できる方なのかなと思う。どちらかというと演出指示がばかっぽさを強調しているような気がする。他の出演者についてもそう思う。このシリーズ、大仰な、いかにもという演技させ過ぎるとこありますね。わざとらしくて、頭にちょんまげ想像しながら観ると、水戸黄門ぽくなってあまり気にならなくなると言うか。
前の3作のレビューでも書いたけれど、徹夜明けの頭で、吟味せずに、なんとなくこんなのぉを撮りたいとそのままやっつけ仕事で撮ってしまった感じ。
室井の寡黙を活かしたかったのなら、もっと別の方法があるように思う。
スピンオフのスピンオフが出るくらいだから、すでにこのシリーズのスタッフは、このシリーズのメインメンバーに飽きていて、周りの面白そうな人を描くことに興味が移っちゃったのか。そう考えると、この作品で、室井やメインメンバーがまったく動かないのに、新城・沖田の活躍度合いが多いのも頷ける。
CMで柳葉さん出ていると知って、見たかった作品。観て後悔した。
ああ。