「「勇気」と「救済」がテーマの不器用な男のまっすぐな生き様を描く」容疑者 室井慎次 スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
「勇気」と「救済」がテーマの不器用な男のまっすぐな生き様を描く
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大人気刑事ドラマシリーズ「踊る大捜査線」の主要キャラクターである不器用な警察官僚 室井慎次を主役に据えた日本映画らしい重厚なストーリー。
そもそもの発端は所轄の警察官が殺人の容疑をかけれたところから始まるわけだが、
なぜかその捜査を指揮していた室井慎次もまた容疑者として送検されることとなる。
これにより警察組織内の権力闘争や真犯人が雇った卑劣な弁護士により、
室井とその弁護人はどんどん窮地に追い込まれる。
果たして結末はどうなるのか?
それぞれの人間模様は複雑なようで実は至極単純なように思えた。
ずばりそれは実利や保身によって勇気や正義を捨てた者たちが果敢な男を引きづり下そうとする構図なのではないだろうか?
私はこれは大人向けの「少年漫画」なのではないかと感じている。
身内の汚名と自分たちの
縄張りで起きた事件を純粋に解決したいという新宿北署の刑事たちの活躍はもちろん、
かつては室井と反目しあってた新城や沖田の暗躍もあり、
事件は何とか決着がつく。
そして、トラウマにより勇気を失いかけた2人の
弁護士は再び前を向き、
室井自身も自身の過去と対峙することで、いみじくも警察官として必要な要素をまた一つ手に入れ、新たな一歩を踏み出す。
雪空のなか一旦は欠航となった飛行機が再び離陸するのにそう時間は
かからなかった。
試練の時間は長く感じるものだが、そんな中にこそ一生ものの何か大切なものを気づかせてくれるのだろう。
自分も職業人として理不尽に耐えながらスクリーンの中の彼らのように勇気やら矜持やらを
携えてこの先を歩んでいきたいものだ。
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