「勇気の灯」容疑者 室井慎次 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
勇気の灯
"THE ODORU LEGEND CONTINUES" 第2作。
DVDで6回目の鑑賞。
怒涛のパニックエンタメだった「交渉人真下正義」に続く本作は、これまた本編とは毛色の違う重厚でシリアスなドラマである。「スピンオフ」の振り幅を知らしめた作品だと思う。
室井が逮捕される衝撃の導入から始まる物語に釘づけになった。とある事件の捜査が室井さんの予想を遥かに超える混迷を極め、複雑怪奇な様相を呈していく中、弁護士・灰島秀樹が張り巡らす卑劣な罠と、次期警察庁長官の座を巡る警視庁副総監と警察庁次長の権力争いが交錯し、室井を追い詰めていく。残酷な方法で暴かれた彼の秘められた過去に涙が溢れた。
完膚無きまでに叩きのめされ、室井の心に灯る勇気は風前の灯に。脱け殻寸前の室井が痛ましかった。室井の人柄に触れた仲間たちが、彼の窮地を救おうと各方面で大奮闘。彼の信念を守るため、執念の捜査が始まる。絶体絶命の状況を打破するため自らの進退をかけた博打に挑む室井が、強烈にカッコ良かった。真実を知りたいと云う想いが信念と結びつき、室井を一歩前進させてくれたように感じた。その胸の中にはきっと、今も現場で頑張っている青島との約束があったのだろうと思う。
クライマックスの疑似法廷の逆転劇は痛快ながらも、どこか物悲しく、やるせない気持ちになった。あまりにも空虚でくだらない真実に、何もかもが壊されそうになっていたなんて…
これまで掘り下げられて来なかった室井の内面に深く切り込むだけでなく、新人弁護士の成長物語としても機能しているストーリーが素晴らしい。終始重厚な雰囲気が好きである。
[以降の鑑賞記録]
2024/09/30:土曜プレミアム(4Kレストア版)
※修正(2024/09/30)