「心に灯る勇気の火」容疑者 室井慎次 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
心に灯る勇気の火
"踊る大捜査線" スピンオフ映画シリーズ第2作。
DVDで鑑賞。
怒涛のパニック・エンタメだった前作に続く本作は、これまた本編シリーズとは全く毛色の違う骨太社会派ドラマ。スピンオフの振り幅を知らしめた2作品だと思いました。
室井さんが逮捕されると云う衝撃の導入から始まる物語に釘づけになりました。とある事件の捜査が室井さんの予想を遥かに超える混迷を極め、複雑怪奇な様相を呈していきました。
弁護士・灰島秀樹が張り巡らす卑劣な罠と、次期警察庁長官の座を巡る警視庁副総監と警察庁次長の醜い権力争い…
様々な思惑が交錯し、室井さんを追い詰めていく。如何にも残酷な方法で暴かれた彼の悲しい過去に涙が溢れました。
完膚無きまでに叩きのめされ、室井さんの心に灯る勇気の火は風前の灯に。脱け殻寸前の室井さんが痛ましかったです。
彼の窮地を救おうと仲間たちが大奮闘。室井さんの人柄に触れ、彼の信念を守るための執念の捜査が始まりました。
絶体絶命の状況を打破するために自らの進退を懸けた最後の大博打に挑む室井さんの姿が強烈にカッコ良かったです。
真実を知りたいと云う想いが、決して諦めない信念と結びつき室井さんを一歩前進させてくれたように感じました。その胸の中には現場で頑張っている青島くんの姿があったのかも。
クライマックスの疑似法廷の逆転劇は痛快ながらも、どこか物悲しくやるせない気持ちになりました。あまりにも呆気無く空虚な真実に、何もかもが壊されそうになっていたなんて…
これまで深く掘り下げられてこられなかった室井さんの内面に鋭く切り込み、さらに新人弁護士の成長物語としても機能しているストーリーが素晴らしかったです。
[以降の鑑賞記録]
2006/10/21:土曜プレミアム
2007/10/20:土曜プレミアム
2011/? ?/? ?:DVD
2012/10/26:金曜プレステージ
2019/11/21:DVD
※修正(2023/08/27)