「宇宙刑事みたいに。」まだまだあぶない刑事 yuki-yo@ybfbwさんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙刑事みたいに。
当時、突然の復活に、なぜ、今? とおもったものだが、
さらにそこから数年経過しているので、
なんだ、これわ?感が際立つ作品に熟成されております。
まず冒頭の韓国でのシーン。
まさに絵に描いたよーな、埠頭でのギャングによる取引と、タカとユージを交えた銃撃戦。
一見、どーでもいいよーなシーンなのだが、
前作のラストにおいてタカとユージが死んだよーな描写があったので、
じつは秘密捜査で韓国にいたんだよ、とゆー説明の意味が込められたシーンなのだが、
これが本編の結末にも繋がる重要なシーンでもあったりする。
で、「あぶない刑事」のいつもの調子でストーリーは進行するのだが、これがなかなかキツい。
やりたいことは分かるのだけど、どっか苦々しいよーな、微妙な気持ちになってしまう。
「あぶない刑事」ってドラマは、
それまでの社会派で劇画でシリアスな、既存の刑事ドラマに対するアンチテーゼとして生まれた、
斬新なドラマだったのだが、
現在ではさらに『踊る大走査線』とゆーこれまた新しく、また現代的な視点をもつドラマが生まれてしまったことで、
「あぶない刑事」ですらも、もはや過去のプログラムとして消化されているわけだ。
しかも、「あぶない刑事」らしさ、そのスタイルを、
こんな感じだったよね? とばかりに、そのままやっちゃうものだから、
主張も必要性もない、空寒い、オリジナルのコピーを見せられている気分になるのだ。
ダンディで、オシャレを気取りたいんだろーなってシーンも、なんか間が延びてモタモタしてるよーに見えてしまうし。
アクションでも、ま、普通のシーンでも、妙なストップを入れたり、リピートさせたり、異常な数の顔のアップがあったりと、
おそらく2005年でも、これは異常だったとおもうわ。
そんでだ。新人の刑事が二人、出てくるのだが、
これが、それぞれパソコンと銃器?マニアって役柄で、佐藤隆太と窪塚俊介が薄っすい演技で見事に演じておりまして。
後半になると裏切るとゆーか、じつは事件の真犯人なんです。
しかし新人の刑事が、それも身内のニンゲンがそーゆーことになってんのに、
港署の連中は、皆、大して疑問も驚きもなくて、あ、へー、そーなんだ、ぐらいのリアクションだけで、観てるこっちが驚いたよ!
警察の責任とか、どーなってるの!?
つか、この事件ってのが、
密輸した超小型核爆弾を米国防長官と華僑の大物が密談するサッカー・スタジアムに仕掛けて爆破させるとゆー、
某『20世紀少年』の子供が考えそーなアレみたいで。
しかもね、ストーリーの中核とも云える大事な部分は、全部あとからセリフだけで説明しちゃうの。思いついたよーに。
で、またこの水筒ぐらい小型の核爆弾を大して丈夫そうでもないケースに入れたり、リュックサックに入れたり、
平気で素手で掴んだり、放り投げたり、落としたりするの。
挙げ句の果てに、ドライバーとうろ覚えの知識だけで解体しちゃうし、結局、爆発しちゃうしね。
そーそー、この映画、核爆弾が爆発するんだよ。
横浜のスタジアムの上で。
んで、グラウンドでは読売ヴェルディとサンフレッチェ広島が試合してるの。
横浜が舞台なのに!
お客さんも満員なの。Jリーグなのに!!
そんでもって、そんなJリーグの試合を、
米国防長官と華僑の大物が、ちゃんと観戦してんのよ。悪い談合しながら。
んで核爆弾がそのスタジアムに仕掛けられるんだけど、試合なんか止めちゃえっての、Jリーグなんだから。
避難が先だろ、と。爆発したらどーすんだ、と。
まあ、爆発するんだけども。
んでー、クライマックスが、
スタジアムの屋根の上で、核爆弾を奪い合いながらドンパチやって、
分からないことは悪役がちゃんと説明してくれて、ワイワイやるんだけども、
これがまた、ぜーーーんぶ、合成なの。
撮影の許可とか、そりゃ難しいかも知れんけど、そーゆーレベルの話でもない。
もーね、目がチカチカするぐらい、合成丸出しでね、
むしろ逆に、これは異次元の世界で闘ってんのかなって。宇宙刑事みたいに。
我が目を疑いそーな、狂気の映像でしたよ。
で、
だ、まだ終わらないのがこの映画の凄まじいトコロ。
事件も解決して、
最後の最後に、じつはタカとユージは、すでに韓国で死んでたらしい、ってことが分かるのです。
要すると、
前作で死んだとおもわせたけれど、じつは生きていたけど、ホントは死んでたんだぜー、ってことなのです。
こんな愉快痛快な映画が、
2005年に作られているんだから、オススメするしかないですよ。