劇場公開日 2005年11月5日

「三丁目の映画化?忠実にやれよ!と思いつつ」ALWAYS 三丁目の夕日 Taiyakiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0三丁目の映画化?忠実にやれよ!と思いつつ

2007年11月26日

泣ける

笑える

幸せ

平成生まれのクセして親の影響で原作を愛してやまない自分。
正直、もう読んでない話はほとんど残っていないと思う。
それどころか、同じ話を何回も何回も繰り返して読んだ。

そんな自分が三丁目の夕日が映画化されると聞いたとき、
もちろんものすごい不安が脳裏をよぎったことを覚えてる。
監督もどこの馬の骨だか知らない奴でなぜか専門はVFX。
しかも原作の舞台である昭和30年代の人間ではないときた。

初めて見た時、僕の家族はふんぞり返って見た。
誰だ、六子って。
愛すべき六さんはどこへいった。
何だあの社長さんは。
もっと温和な人だったはずだ。
どうした、茶川さん。
どうして若返った。
なんで原作通りに再現できない?

そんなこんなで世間での絶賛の嵐とは裏腹に、
うちでは不評の荒らしだった。

しかし、どうもひっかかる。
世間ではもっと原作を愛している人たちがいるはずだ。
何故こんなにも高い評価を得るのだろうと疑問で仕方がなかったので、
今回の鑑賞の際見る目を180°代えてみた。
すなわち、原作の先入観を捨ててみてみた。

するとどうだろうか。
涙が溢れて止まらなくなってしまったのだ。
それも五回も。
びっくりである。
硫黄島の手紙のレビューで久しぶりに泣いたと書き込んだ記憶があるが、
今回の涙は前回とは訳が違う。
暖かいのだ。
前回には見えなかった、“家族”というテーマも自然と見えてきた。
反抗期真っ盛りな自分にとって、
まさにそのテーマはツボだった。

二回目の鑑賞なはずなのに、
まるで初めて映画を見るような感覚だった。
この時代に生きたかった...。

悔しいが、ここは認めざるを得ない。
山崎監督にしてやられた。
こいつは傑作だ。

しかし、かつての自分のように、原作の魅力にとらわれている人にはお勧めしない。

Taiyaki