「【原爆投下直後のひろしまの生き地獄のような様と、原爆病の恐ろしさを描いた強烈な反戦映画。良く映像化したモノであり、当時の制作陣に敬意を表する気持ちになる映画である。】」ひろしま NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【原爆投下直後のひろしまの生き地獄のような様と、原爆病の恐ろしさを描いた強烈な反戦映画。良く映像化したモノであり、当時の制作陣に敬意を表する気持ちになる映画である。】
ー つい最近、新聞にアメリカが原爆投下80年の節目に当時の原爆投下の正当性を調査したという記事が出た。
そこには、若年層の方々が65歳以上よりも20ポイント近く正当性はないと回答したという内容と共に、共和党支持者より民主党支持者の方がその傾向が強いとの付記も有った。相次ぐ、世界各地の戦禍の報道が流れる中、若い人の思想が変わりつつあるのではと思ったモノである。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作では、冒頭に原爆投下後のひろしまの学校での授業中に、女子生徒が鼻血を出し身体が怠いと先生に訴えるシーンが描かれる。先生は、原爆について知識が及んでいない事を詫びた後に、シーンは1945年8月6日の広島の朝の光景が映し出される。
そして、最後半にその女子生徒の葬儀シーンが描かれるのである。
・原爆リトルボーイをエノラゲイで運ぶ乗務員の気持ちがナレーションで淡々と流れる。
そして、リトルボーイは警戒警報が全く流れない中、広島の遥か上空で炸裂し、その後、被爆した広島の無辜の民たちの悲惨な姿が延々と描かれる。
・燃えていく家屋の下敷きになり、生きたまま業火に包まれて行く人達。呆けた表情で死んだ赤子を抱く母親。
・元安川に入った先生と生徒達が次々に川の中で倒れていく姿。
・収容所で、ロクな薬も無いままうめく人たちの姿。変わり果てた父親の表情を見て、近付かない少女。
<今作は、1953年の公開だそうであるが、良くこの映画を制作、公開したモノである。製作陣の戦争に対する強烈な怒りが伝わる反戦映画である。>
■今年は、戦後80年という事もあり、シネコンで例年にない数の戦争映画が公開されている。有意義な事であると思う。
私を含め、日本人の9割以上が戦争を知らない世代になって行く中、映像で戦争の悲惨さや愚かさを描く映画は、右傾化していく且つ増大する軍事費に歯止めがかからない現代日本においては大変に貴重だと思うからである。
8月1日には、長崎に落とされた原爆により、傷ついた若者達の姿を描いた映画が公開される。多分、キツイ映画だと思うが、日本人としては観なければいけないだろうな、と思っている。
私も戦争の状況を伝える映画はとても大切だと思います。
今年は80年目ということもあり、例年以上に多くの戦争に関する映画が上映されています。
心がけて見に行こうと思っています。

