劇場公開日 2004年12月4日

「ゴジラ50周年を台無しにした作品 私達は裏切られたのだ」ゴジラ FINAL WARS あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0ゴジラ50周年を台無しにした作品 私達は裏切られたのだ

2022年7月21日
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鑑賞方法:VOD

2004年12月公開
1954年の初代ゴジラからちょうど半世紀の節目の記念作品

怪獣映画の集大成
過去最高のゴジラの映画
大ヒットしてシリーズ観客動員数1億人突破を達成して海外セールスも引っ張りだこ
そうなるはずだった
誰もがそう思った
そう願った

なのにこの大惨事になってしまった
まさに黒歴史

ゴジラ50周年を台無しにした作品
私達は裏切られたのだ

監督は北村龍平という知らない人
1995年にインディーズムービー・フェスティバルでグランプリをとり、その後もインディーズ映画で高い評価を得た人だそうです

冒頭のタイトルバックの映像には、今までの東宝特撮にない洋画的なプロモビデオ風でなかなかスタイリッシュ
期待できるのか?と思わされます
しかし本編が始まるとあっという間に裏切られたと分かります
圧倒的なつまらなさ
分かってなさが全編ずっーと続くのです

つまらないだけならまだいいです
馬鹿にするな!という怒りが沸々と湧き上がってくるのです

これがゴジラ50周年の記念作品で完結編として提供されて良いものか!という怒りです

この監督はゴジラなんか撮るつもりはなかったに違いないと思います

キル・ビルやマトリックスのような映画を撮りたい
怪獣映画なんてそのために踏み台に利用してやる
そんな意識が透けてみえるのです

そうやって撮ってた映画が面白いければまだ許せました

何だよ!これは!という真似事映画のレベル
噴飯もの
物を投げつけたくなる映画とはこのこと
ひょっとしてパロディ映画だったのかと思いたくなる
その方がまだ救いがあった

新しい感覚という映像もすぐに馬脚を現して、カラーフィルターを掛けて色調を変えて洋画的映像に似せただけ
その実態は見辛い映像のオンパレード
独りよがりの映画、自分に酔っている
そんなもの金を取って公開するな

誰をターゲットにしているのだろう?
誰が喜ぶ映画なのだろう?
監督ただ一人だけではないのか

いや監督本人が一番つらかったのではないだろうか
素養と能力の不足を監督自身が痛感したはずだ
監督は途中降板すべきだった
いや製作者が監督を解任すべきだったのだ

こんな監督にゴジラという金看板のコンテンツを任せた製作者とプロデューサーの責任を問うレベルの作品なのだ

映画界でも稀にみる大失敗作
その意味で本作を永遠に語り継ぐべきだ
こんな大失敗、大惨事が、最も大切な虎の子のコンテンツで起こり得るのだと

失敗の根本原因はなにか
それは怪獣愛、ゴジラ愛などを、これっぽっちも持たない人間に監督をさせたことにつきる

だから怪獣愛も、ゴジラ愛も、特撮愛もこれっぽっちもない作品ができてしまうのだ

こんなゴジラ映画を過去最大の予算を掛けて作ってしまったのです

その結果は、ゴジラ対ガイガンやゴジラ対メガロよりひどい最低最悪レベルの内容と、ワーストレベルの興行成績だったのです
20億円の巨費を投じて、12億5千万円しか興行収入がない、巨額の赤字を作って終わったのです

つまり、ゴジラ50周年の記念に泥を塗った作品を製作したのです
その責任をとるべきは製作者とプロデューサーです

エメリッヒ版ゴジラと同じ失敗を繰り返したのだ
いやあれはゴジラ映画だと思わなければそこそこ面白い映画だった
事実大ヒットして巨額の製作費を回収して3倍ものリターンを生んだのです
大変な違いです

公開すべき作品ですらありません
大学の学園祭とかで上映される二次創作のレベル

怪獣が好き、ゴジラが好きという筋金入りのオタクに撮らせないと怪獣映画は良いものは撮れはしないのだ

その教訓を忘れたツケはあまりにも巨大なダメージを東宝にもたらしたのです

特撮部隊はそれでもやれと言われた映像は作らねばならない
頑張っていると思う
ラドンのNY 来襲シーンは見事だった

本編のNY シーンは学芸会レベルだったけれど特撮部隊は責任を果たしている

特技監督は浅田英一
この人は中野昭慶、川北紘一の弟子筋に連なる東宝特撮の正統なる後継者だった人物です
しかし何故か1990年頃から東宝を離れていたのです
前作の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」から、ようやく東宝に復帰したのです

歴史ある東宝の特撮部隊は、2001年の「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」は神谷誠に、2002年の「ゴジラ×メカゴジラ」は菊地雄一にと、平成ガメラシリーズの特撮部隊の人間に2作続けて仕切られていたのです
その鬱憤を晴らすかのように、彼は前作につづいて本作でも張り切って東宝特撮部隊を率いて特撮を撮っているのが伝わって来ます

本作では、前作をさらに上回る良い仕事を見せてくれています

しかし本編がこれではあまりに可哀想です
報われません

音楽も伊福部昭の音楽は申し訳程度
キース・エマーソンという有名ロックキーボードプレーヤーに任せます
この人は才能はある人なのですが、ゴジラシリーズや怪獣映画に必然性は何もないのです
音楽をにも新味を出したかったのでしょうが、何故この人なのか?理解できません
ただ監督が好きだっただけのように思われるのです

腹が煮えくりかえりました

本作で正にゴジラ映画は死にました
本当にFinal wars になったのです

シン・ゴジラで奇跡の復活を遂げるのには12年もの時間が必要になるほどダメージは大きなものだったのです

星は一つ特撮部隊に免じて
本編はゼロどこらかマイナス5点だ

あき240