「ラスト・キング・オブ・モンスターズ」ゴジラ FINAL WARS しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
ラスト・キング・オブ・モンスターズ
ゴジラ・シリーズ第28作。
通常スクリーンで鑑賞。
母親と映画館で観た。良き想い出である。
公開当時、小学5年生。大好きなゴジラが終わってしまうと云うことで、大変悲しんだことを覚えている。最後の勇姿をしっかり目に焼きつけるつもりで映画館に足を運んだ。
観ている間中、めちゃくちゃ興奮して手に汗握った。今までのゴジラ・シリーズには無かった人間側のアクションがてんこ盛りで、ハリウッド映画みたいだと大層感激したのだ。
圧倒的な強さのゴジラは、他の怪獣を寄せつけず瞬殺するからまさにゴジラ無双。スピーディーなバトルも斬新だった。
公開まで登場が伏せられていたカイザーギドラも、問答無用でカッコいい。シリーズ最後の敵に相応しいなと思った。
「ゴジラが終わるのは悲しいが、有終の美を飾れたのでは?」と、興奮覚めやらなかったことをはっきり覚えている。
だが、時が経ち、大人になった今観返すと、正直「なんだかなぁ…?」と思いたくなる部分がたくさん見つかった。
徒然なるままに書き連ねていこうと思う。
人間のアクションは「マトリックス」の劣化版のようで、やたらとカッコつけているだけで、何よりちゃちい。
松岡昌宏やドン・フライ、ケイン・コスギが動けるのは分かるが、それにしてももう少しなんとかならなかったものか。
あまりにもゴジラが強すぎるため、ヘドラやクモンガなど、メイン以外の怪獣たちの扱いが酷く、全然見せ場が無い。
怪獣対決もプロレス感が強調されていて、人間が着ぐるみを着て演技している感丸出しでもはや人間にしか見えない。
平成版「怪獣総進撃」を目指すと云う触れ込みだが、「コレジャナイ感」が満載。冒頭の怪獣一斉出現は良かったのに。
最終決戦の舞台も東京なのは良いが、X星人に殆ど破壊された後だから、都市破壊のカタルシスが全く感じられない。
ラストの展開も子供騙しすぎる。みんなで「やめて!」ポーズをしたら、ゴジラが帰っていくってどうなのか。
ゴジラは人間に相当怒っているのではないのか。過ちの末に己を生み出した人類を憎む、鬼神であるべきではないのか。
人間からパワーを貰ったことでカイザーギドラに勝つことが出来たから、少しは恩義を感じたと解釈をするしか無さそうだが、本当にそれで良いのかと云う疑問が頭から離れない。
本作がゴジラ・シリーズの最終回として製作されたことを考えると、本当にこれで良いと思っていたのか、富山省吾プロデューサーはじめ、東宝首脳部の感覚を疑いたくなる。
自分自身に対しては、大人になるとこうも考え方が変わるのか、純粋に楽しめなくなってしまうものなのかと、しんみりしてしまった。もう私の中に童心は無いのだろうか。
―と云う感じである。
しかし、本作が嫌いなのかと言うとそうではなく、結構好きだ。これまでの文章だと矛盾しているようだが、好きなのだ。
ゴジラ・ファンと云うこともあるが、なんだかんだ初見時の想い出もあるし、内容云々関係無く、大切な作品なのである。
[以降の鑑賞記録]
2005/07/29:DVD
2005/12/30:テレビ大阪(怪獣キング決定戦 地上最強シネマスペシャル)
2019/05/16:DVD
2020/10/10:Amazon Prime Video
2024/12/04:DVD
※修正(2024/12/04)