劇場公開日 2004年11月20日

「【並行世界、そして分断された日本の中での若き男女の切ない恋物語。SF要素を盛り込みつつ、美しい空を始めとした自然描写に、後年の新海誠作品群の萌芽を感じる作品。】」雲のむこう、約束の場所 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【並行世界、そして分断された日本の中での若き男女の切ない恋物語。SF要素を盛り込みつつ、美しい空を始めとした自然描写に、後年の新海誠作品群の萌芽を感じる作品。】

2024年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

◆感想

・今作では、日本はユニオンが支配する北海道(蝦夷)と、アメリカの傘下にある青森以南が分断した形で描かれる。
 第二次世界大戦、終戦前にロシアが樺太を奪還しそのまま北海道まで進軍していたら、日本も朝鮮半島と同じ運命を辿っていた事は、良く言われる事である。
 今作では、その”もしも”を取り入れている。
 並行世界として。

・理論物理学を基調としたSF用語が頻繁に台詞に入ってくるし、中学生のヒロキとタクヤとサユリの交流シーンから、イキナリ3年後の世界に物語は飛び、ヒロキとタクヤは別々の道を歩んでおり、且つサユリが眠り続けているという設定は、ナカナカに分かりにくい。

・だが、徐々に北海道(蝦夷)に聳える塔と、サユリが眠り続ける理由が開示されて行く様や、ユニオンとアメリカが交戦を始めた隙に、ヒロキは眠り続けるサユリをヴェラシーラに乗せて、”雲の向こうの約束の場所”に連れて行こうとするが・・。

<今作は、SF要素をふんだんに盛り込みながらも、若き男女の切ない恋を、美しい空を代表とした自然を背景に描いた作品である。
 テーマ的に、新海誠監督のその後の大ヒットを重ねる諸作品の萌芽を感じる作品でもある。>

NOBU