笑の大学のレビュー・感想・評価
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検閲よりも作る側と見る側に問題があると思う
映画化とは
さすがの役所広司と踏ん張る稲垣吾郎
昭和15年、役所広司扮する検閲官向坂睦夫は、ひたすら不許可の印鑑を劇団の台本に押して台本を一部削除して許可していた。稲垣吾郎扮する笑の大学の座付き作家の椿一も検閲を受けていた。向坂は、非常時に浮かれている場合では無いと言い切って上演許可は出せないと言った。
役所広司がひたすら稲垣吾郎相手に話し続けるスタイルで展開されていく。如何に統制が厳しくて、西洋物が和物になるなど検閲官の思惑に従わないと上演出来ないと言う。笑いに興味が無い検閲官からアドバイスを受けてどんどん台本が膨らんでいく。警察署長まで実名で登場させて、そして上演を観に行った向坂。さすがの役所広司と踏ん張る稲垣吾郎。笑いの無い喜劇とは? 三谷作品で初めて満足できたね。なかなか楽しませてもらったよ。
やり取り
『ホテルビーナス』『茶の味』『NIN×NIN』『2046』(ハウルの動く城)・・・そしてこの作品。2004年はSMAPのメンバー出演映画が出揃いましたね
映画はほとんどが検閲官の取調室という個室の中で繰り広げられる舞台劇。それもそのはず、元々はラジオドラマ、舞台劇と演じられてきたのだ。が、そういうことは全く知らないで鑑賞したため、純粋に映画として楽しんできました。
「ジュリオとロミエット」「お肉のため」・・・この辺りで、もうハートはすっかり掴まれてしまいましたが、次から次へと堅物検閲官が無理難題をふっかける面白さ。真面目に、誠実に駄洒落を解説する面白さ。最近の日本コメディ映画に多いオバカでポップなノリとは全く異質であり、毒の無い古き良き邦画黄金時代をも彷彿させる(と言っても、その頃は生まれてません・・・)。ひょっとすると、若い人がこの映画を観ても「オヤジギャグ」としか受け止められないところもあるだろう。実際、映画館でも大笑いしていたのは年配の人が多かった。
しかし、忘れかけていた本格的な日本コメディー映画。対象年齢は若干上の方だと思うが、笑いと涙と感動をプレゼントしてくれたよ。ゴローちゃんはSMAPの中で一番の正統派俳優になりましたね。
本日、『トリコロールに燃えて』も観たのですが、同じような時期、日本ではこの映画のように表現の自由が許されない世の中であり、フランスでは自由を謳歌する世の中。日本と海外を比較するのも面白い。
笑いのロールプレイングゲーム
初めて見たのは舞台中継だった、セリフのインベーダーゲーム、ああいえばこういうやり取りの軽妙さに舌を巻いた。三谷さんはラジオ、舞台、映画とメディアと役者が変るたびに脚本はすべて書き直したという、コメディというとコント芸や顔芸なぞ一過性の笑いに流す安直な監督も多い中、喜劇への真摯な取り組みは頭が下がる。作家と検閲官、二人の笑いに対するこだわりに説得力があり、喜劇とはどうあるべきかを釣られて考えてしまう、まさに笑の大学、喜劇を通じて喜劇の本質に迫るシチュエーションは秀逸だ。本作はフジテレビの亀山プロデューサーの熱烈なラブコールで実現したが星監督は完成度の高さから随分固辞したようだ。慧眼あたらずとも遠からず、星監督は三谷さんのような奇人ではない分、灰汁が抜け綺麗に纏まりすぎた気がしないでもない。
喜劇なんだけど...
私の笑いのツボにはまらなかった。稲垣吾郎と役所広司ふたりで話が展開していくから二人の演技が非常に重要になってくるのだが、個人的な意見だがどちらもあまり良くなかった。役所広司の方はもっときちっと仕事をこなす検閲官を上手くやってほしかった。稲垣吾郎にペースを乱されてゆく感じでもなく、何だかよく分からない性格という印象。稲垣吾郎はもっと軽い、お調子者の感じが出ていても良かったのでは。
ラストのシーンはわざとらしかったし、長かった。
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