或る夜の出来事(1934)のレビュー・感想・評価
全8件を表示
元祖ロードムービー♥
・コロンビア映画の創始者は東欧系ユダヤ人移民。ハリー・コーンで、フランク・キャプラをコロンビアへ招き入れた人物。
・演出家のフランク・キャプラはイタリア系移民。
・クラーク・ゲーブルはドイツ系移民。
そして、
・クローデット・コルベールは フランス人。
創始者のハリー・コーンはユダヤ系にも関わらずにムッソリーニとコネクションがあったようだ。
さて、それを踏まえて、1930年代がどんな年であったかを理解すれば、この映画、結構奥が深いような気がする。そして、
『ローマの休日』がこの映画を完全リスペクトしている。その台本を書いたのが、ハリウッドの赤狩りの餌食にあったダルトン・トランボだとすると、なんとまぁ摩訶不思議なコメディだ。
ヒトラーがドイツで政権をダッシュした年が1932年だから、こんなのんびりした話は空気が読めていない寓話た。
だから、どこかに色々なアイロニーとか、ディスりが入っていると思う。従って、時間を於いて再見する必要があると思っている。
ストーリー展開はバスの車内を使ったオフ・ビートなロードムービーだと思う。ロードムービーの元祖なんじゃない?
ロマンティックコメディの傑作だ。
恋人ウェストリーとの結婚を父親に反対された富豪の令嬢エリー(クローデット・コルベール)は、マイアミからニューヨークに向かう夜行バスに乗り込み、失業中の新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)と出会う。
エリーの正体に気づいたピーターは、父親に知らせない代わりに、彼女をネタに記事を書くことを思いつく。最悪の出会いから反発しあう2人だったが、やがて互いに惹かれあっていく、、、。
明るく魅力的で、生き生きとしたロマンティックコメディの傑作。ひょんなことから出会った2人の男女が、立場を超えて相手を想うようになる過程が、1つ1つの出来事の積み重ねを通じて、テンポ良く、ユーモアを交えて描かれていく。
こんなにシンプルなロマンスが、多くの人々を魅了したのは、主演の2人の魅力的なキャラクターと、心憎いエピソード、快活でカラッとした語り口のおかげだろう。
本作に影響を受けた作品は数え切れず、多くを語る必要が無いほどの、映画ファンなら是非とも見てほしい、ロマンティックコメディの傑作だ。
ローマの休日のようなラブコメ
良いところのお嬢様エリーと新聞記者ピーターのラブコメという『ローマの休日』に似ているロードムービー。ラブコメらしく道中の出来事も笑えて楽しい。2人の仲が徐々に深まっていき、恋愛関係に発展していく展開も丁寧に描けていた。彼らはバスに乗るのを止めた後、即席で作った干し草の寝床の上で、無言でしばし見つめ合う。2人が互いを恋愛相手として意識し始めたのを、演技で表現できていたのが良かった。
しかし、ピーターがエリーと結婚するために彼女を寝かしたまま新聞社に駆け込むシーンは、わざわざそんなことをする必要があったのか疑問だった。後の彼らのすれ違いや結婚式での逃走シーンを作るためだけの展開に思えてしまい、感動も薄れた。
【”そして、ジェリコの壁は崩れた。”ニューヨーク行きの大陸横断バスで出会った世間知らずで我儘な大富豪の娘と漢気のある新聞記者がひょんな事で共に旅し、徐々に惹かれていく様を描いたロードムービー。】
■大富豪の娘・エリー(クローデット・コルベール)は父親に飛行機乗りの男との結婚を反対された事に怒り、家出する。
エリーの父親は、娘を探し出すために多額の懸賞金を出すことを新聞に記載させ、更に多数の探偵も雇う。
ニューヨーク行きのバスに乗り込んだ彼女は、偶然席が隣り合わせとなった新聞記者のピーター(クラーク・ゲイブル)と旅を共にすることになる。
さまざまなトラブルに巻き込まれながら、やがて二人は互いに心惹かれ始める。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作はとても、粋なロードムービー作品であると思う。
ー フランク・キャプラ監督の手腕が炸裂している。-
・新聞記者のピーターは乗り合わせたエリーが大富豪の娘と知り、最初は懸賞金目当てで近付くが、徐々に世間知らずの彼女の無垢な顔を見て惹かれていくとともに、彼女の我儘な性格に対して、”直ぐに金で解決しようとする。何で、素直になれないのだ!”と叱責する。エリーは最初はそんな彼の言葉に反発するも、実は根は優しく正義感の強いピーターに惹かれていくのである。それは、ピーターも然りである。
・エリーの父親が雇った探偵たちが、エリーとピーターが咄嗟に夫婦を演じ、追い払うシーンや、バスに同乗していた矢鱈に喋るシェプリーがエリーの本当の姿を新聞で知り、ピーターに”分け前5000ドルでどうだ。”と持ち掛けた際に、ピーターがマフィアの振りをしてシェプリーを追い払うシーンも可笑しい。
■彼の有名な二人がヒッチハイクで車を停めようとするシーン。
・ピーターは、ヒッチハイクの仕方を3通り、エリーに披露し、車を停めようとするが一台も停まらない。そして、エリーが”じゃ、私が。”と言ってピーターのように親指を立てずに、スカートの裾をまくって長い脚を見せ、一発で車を停めるシーンは可笑しい。
・宿が無くて、二人で野宿するシーンも良い。藁を集めるピーターに対し我儘を言うエリー。そんな彼女にピーターは再び、キツク叱責するのである。ピーターが寝た後に涙を浮かべるエリーの切ない表情。-
・ピーターは旅の途中でエリーとお金のことを考え、同室に泊まるが常にエリーとの間に”ジェリコの壁”と言って毛布を掛け、敷居を作る。
ー 彼は、何だかんだ言って、ジェントルマンなのである。
そして、或る晩にエリーは涙を流しながら、ピーターに恋心を告げるのである。-
■今作は最期まで捻りを入れたストーリー展開が光る。エリーは宿屋に自分を置いてどこかに行ってしまったピーターに立腹し、父親の元へ戻る。
更にエリーはピーターが自分の面倒を見ていたのは懸賞金目当てだったと誤解する。
だが、ピーターがエリーの父親の元を訪れた時に請求したのはエリーをニューヨークに連れて行くためにかかった実費のみであったのである。
そんな、ピーターが”エリーの事は好きだ。”と言って自分の部屋を出ていく後ろ姿を見る父親の表情。
そして、エリーが飛行機乗りの気障な男との結婚式でバージンロードをエリーと共に歩く際に父親が彼女に言った言葉。
”お前は馬鹿だ。お前はあの男の事が好きなんだろ。アイツもお前の事が好きだと言っていたぞ。”
その言葉を聞いて、エリーは牧師の前で宣誓する瞬間に、待っていたピーターの車に飛び乗るのである。
<ラストの描き方も粋である。且つてピーターがエリーを残して行った宿屋の外観が映され、宿屋の夫婦が”あの二人は結婚しているのかね。”と言う中、部屋の明かりが消え”ジェリコの壁”は取り払われるのである。
今作は、コメディ要素を随所に挟みながら、ひょんなことからニューヨークへの旅を一緒にする事になった男女が徐々に惹かれていく様を描いたロードムービーの逸品なのである。>
さすが、アカデミー作品賞の映画は面白い
1=15分頃まで観たら「ローマの休日」と似てると感じた
①女が富豪の娘で、家出中で、家出の事は写真付き新聞記事になってる
②男は新聞記者で、女の独占記事を書きたくて近づく、等
→ なお、この映画の方が「ローマの休日」より古い
2=題名の「或る夜」とは、1夜でなく3夜の事だった
3=80分頃には、このままスンナリ結婚になると思ったが、ひと波乱発生
4=102分、神父の誓いの言葉の時に花嫁が逃走
③この設定も、後年の映画やドラマで何度も観てる
5=最後に、ピーターとエレンの2人が幸福になる映像がないのは少し残念だが、
ハッピーエンドで良かった
ジェリコの壁をぶち壊せ!
金曜レイトショーにて鑑賞。
展開的には王道中の王道で、そういった様々な王道恋愛映画の原点的作品。
ローマの休日の元ネタというのも納得できます。
ストーリーとしては、
親の結婚の反対から逃げ出した世間知らずのお嬢様エリーが、逃亡途中に金のない新聞記者のピーターと出会う。
初めは互いに反発しているけど、お互いに惹かれていき…
最後はハッピーエンドなんだろうなと思いながらも、2人の行動や考えのすれ違いがとても切なかった。
この時代にスマホでも有れば、なんて思ったりもしました。
最後の最後まで、2人の想いがすれ違い、結婚式で可哀想な婚約者を裏切って、ピーターのところへ行ったのは、お父さん公認とはいえ、結構強引でしたね。
キャンプ場での即興夫婦芝居やヒッチハイクのくだりは声に出したくなるぐらい面白かったです。
アカデミー賞主要5部門を独占した今作なので、フランク・キャプラ監督の他の作品も観てみたいです。
ジェリコの壁は破られた。伏線が最後に終焉となるのだが、画像がない...
ジェリコの壁は破られた。伏線が最後に終焉となるのだが、画像がない。。。映画としての効果なんだろうけど、好きではない。『卒業』はこの作品の影響を受けていると思われるが、やはり『卒業』の方が優れていますよね。
前半は恋愛映画の基礎を作ったとも言える典型的な展開で、ぬかるみにはまったバスから降りてヒッチハイクする場面から一気に面白くなった。ニンジンを食べるところや、ヒッチハイクのポーズをクドクドと説明するシーンはコメディとして最高です。個人的には誘拐犯を装ってツバを吐いたら肩にかかったシーンがベストですけどね。
時代背景も面白く、ハイウェイが舗装されてなく雨に弱いことや、ヘリコプターのような小型飛行機、今見ると新鮮です。
ちょっと物足りないのは父親が婚約者をかなり嫌っていることの原因や、「親の育て方が悪い」と言っただけでピーターに惚れこむところ。ちょっと無理があるような・・・
ラブコメのお手本
何というセンスの良さ!
80年以上前の白黒映画なのに全く色褪せない
流れるようなストーリー展開、小粋な会話、ドタバタコントも上手い
何よりキャラが魅力的
クラーク・ゲーブルがこんなにコメディが上手いとは。口は悪いが、時折見せるさりげない優しさ、どこでも生きて行けそうな生活力、一本筋の通ったところもあり…とこれは惚れますわ
ヒロインも世間知らずだけど、可愛げがある。結構逞しいというか適応力がある。個人的には、最初は嫌がっていた生ニンジンを、そっと齧るシーンが良かった。
大富豪のオヤジもまさかあんなになるとは
フランク・キャプラすげえ。これぞ職人芸
全8件を表示