機関車先生(2004)
劇場公開日:2004年7月31日
解説
伊集院静が第7回柴田錬三郎賞を受賞した小説『機関車先生』を、人気若手俳優、坂口憲二主演で映画化。瀬戸内の小さな島に赴任してきた口のきけない臨時教師と生徒たちの暖かな交流を描く。監督は、「ヴァイブレータ」の廣木隆一。共演は、堺正章、倍賞美津子、伊武雅刀。
2004年製作/123分/日本
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:2004年7月31日
ストーリー
瀬戸内海に浮かぶ小島、葉名島に向かって一隻の連絡船が進んでいく。船には島を見つめている一人の青年、吉岡誠吾(坂口憲二)が乗っていた。一方、島で唯一の小学校、水見色小学校では校長の佐古周一郎(堺正章)が吉岡の到着を待ちわびていた。周一郎には、どうしても吉岡に来てもらいたい理由があったのだった。臨時教師がやって来る、そんな噂を耳にしていた子供たちの胸も期待と不安で大きく膨らんでいた。やがて周一郎と共に姿を現したのは大きな体に、優しい眼差しの先生だった。その口から最初の言葉を固唾を呑んで待つ子供たちに、吉岡は深々と頭を下げ、おもむろに黒板にむかって文字を書き出した。“ぼくは話すことができません。でも、みなさんと一緒にしっかり勉強します。どうぞよろしく”。あまりの驚きにあ然とする子供たち。しかしすぐに生徒の1人が「口をきかんの? でも先生は大きくて強そうだから、機関車先生や!」と教室の後ろにある機関車の写真を指す。途端に残りの生徒たちも大喜びして、一斉に先生に拍手を送る。こうして機関車先生と子供たちとの島での生活がはじまった。先生のオルガンに合わせて「月光仮面」を歌ったり、浜辺にスケッチに出かけたり、子供たちの楽しい日々は永遠に続くかに思えた。先生と子供たちは日を重ねるごとに深く、強い絆を結んでいった。しかし暗い雲から滝のような豪雨が降ったある日、大波と共に悲しい事件が突如として島を襲う。子供たちのリーダー格だった修平の父親の漁船が悪天候で難破し、不慮の死を遂げてしまったのだ。しめやかに行われた葬儀の最中、「父ちゃんは、死んどらん。葬式なんかするな!」と家を飛び出す修平。すっかり穏やかな海に向かって何度も父の名を呼ぶ修平を、先生はそっと抱きしめる。悲しみも冷めないある日、修平は島民にケンカを売られて無抵抗に殴られる先生の姿を目撃してしまう。憎しみは憎しみしか生まない、それを伝えたい先生の想いとは裏腹に、修平は強いと思っていた先生への信頼をすっかり失ってしまう。同じ頃、新任の先生が決まったという噂が島に流れ……。