eiko エイコ
劇場公開日:2004年2月28日
解説
お人好しで夢見がちなひとりの女性が、様々な出来事に遭遇し、色々な人々との出会いを通じて成長し、新たな自分の人生を歩んでいく姿を描いたファンタジック・コメディ。ブレイク間近な今最も期待されている演技派女優・麻生久美子がヒロイン・エイコを、芸能生活35周年の記念すべき年にスクリーンに帰ってきた沢田研二が江ノ本を演じる。監督は、テレビ界で注目を浴び、本作が映画監督初挑戦となる加門幾生。
2003年製作/108分/日本
配給:日本シムコ=東京テアトル
劇場公開日:2004年2月28日
ストーリー
23歳の秋森エイコ(麻生久美子)は、東京近郊のとある住宅街のアパートで一人暮らしをしていた。怪しげな健康器具や安っぽい美容器具、巨大な彫刻のオブジェが所狭しとひしめいている、変わった部屋に住んでいた。ある日、仕事帰りにエイコで女性に呼び止められた。怪しげなその女性は、エイコの顔を覗き込み「人生の転機」が訪れていると告げた。結局その女性はただのキャッチセールスで、エイコは大きな石のついた指輪を買わされた。しかし、それでも明日の幸せを信じるエイコは、「人生の転機」を実りあるものにしてくれるという、ハッピーストーンの指輪を大事そうに抱えて家に帰るのだった。アパートに着くと、やくざ風の男が訪ねて来た。男は街金融の取立て屋だった。翌朝、勤務先のデザイン事務所に出社すると「必ず給料払うから…」という置手紙を残し、社長が夜逃げをしていた。途方にくれるエイコは、部屋にあった巨大オブジェの作者である恋人の戸田(玉山鉄二)を訪ねた。しかし、戸田はエイコが金を持っていないと知ると冷たく追い返す。アパートの前には、昨日の取立て屋が帰りを待っていた。行くあてがなくなったエイコは、社長の住んでいたマンションを訪ねてみたが、現れたのは社長ではなく、見たこともない初老の男。その男はエイコを見るなり「加代、加代じゃないか」とつぶやいた。どうやら少しボケていて、エイコを加代という女性と勘違いしているらしい。アパートに帰れないエイコは、このボケ老人・江ノ本(沢田研二)にすすめられるまま、この部屋に泊まることにした。翌日、あらためて恋人・戸田のアトリエを訪ねると、そこはパトカーに取り囲まれていて、戸田は麻薬常習の容疑で捕まっていた。身も心もボロボロになったエイコの帰る場所は、江ノ本の住むマンションしかなかった。マンションに戻ると、江ノ本のやさしい言葉で、エイコは思わず泣き崩れてしまう。それから、エイコと江ノ本の奇妙な共同生活が始まった。エイコは近所の喫茶店でウェートレスの仕事を見つけ、この共同生活に今までにない安らぎを感じていた。そんな時、喫茶店の常連客である川端(袴田吉彦)から突然デートに誘われた。エイコは化粧品のセールスをしているという川端から、高級化粧品を買わされる。そんなエイコを横目で見ながら、江ノ本は川端の住むマンションへ行くのだった。なんと江ノ本は、川端にエイコを詐欺のカモとして引き合わせ、紹介料を請求していたのだ。二人の平穏な共同生活は相変わらず続いていたが、エイコの身辺に不振な男が出現し始めた。その不振な男は、エイコを調べるために江ノ本が雇った私立探偵・大野(阿部サダヲ)だった。エイコは幼い頃、両親と別れ祖父に育てられていた。両親はそれぞれが既に再婚して幸せに暮らしており、エイコは晩年ボケてしまった祖父の世話をしていたが、その祖父も2年前に他界し、それから一人暮らしをしていた。そして、数百万のカードローンや街金融の借金があることも。しばらくして、江ノ本が肝臓に持病があることを知ったエイコは、川端から怪しげな健康食品を大量に買い付け、江ノ本にプレゼントする。すると江ノ本はそれを床にぶちまけ、部屋を飛び出してしまった。江ノ本は川端の部屋に向かったのだ。部屋で口論する二人。商品を返品するために川端のマンションを訪ねたエイコは、そんな二人の言い合いを立ち聞きしてしまう。川端のみならず、信じていた江ノ本にも騙されていたと知ったエイコは、ショックのあまりマンションを飛び出してしまう……。