ふくろう
劇場公開日:2004年2月7日
解説
時代の波に翻弄された不幸な身の上の母娘が、飢えの苦しみから解放されるべく次々に殺人を犯していく様を描いたブラック・コメディ。監督は「三文役者」の新藤兼人。自らの原作を、新藤監督自身が脚色。撮影を「三文役者」の三宅義行と林雅彦が担当している。主演は、「伝説のワニ ジェイク」の大竹しのぶと「さよなら、クロ」の伊藤歩。第25回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞(大竹しのぶ)受賞、特別功労賞(新藤兼人)受賞、平成14年度文化庁芸術団体重点支援事業作品。
2003年製作/119分/日本
配給:シネマ・クロッキオ=近代映画協会
劇場公開日:2004年2月7日
ストーリー
1980年頃。満州から引き揚げた後、東北地方の山奥にある希望ヶ丘開拓村に入植したものの、土地は不毛、やがて村人たちは次々に出て行き、出稼ぎに行った夫にも見捨てられ、たったふたり、村に取り残されたユミエと17歳になる娘のエミコは、激しい飢えに苦しんでいた。もはや限界。そこで、彼女たちはある決意をする。それは、山向こうのダム工事現場で働いている男らを呼んで春を売っては、毒入り焼酎を飲ませて殺害し、現金を巻き上げるのだ。果たして、ふたりの“貯金”はみるみる増えて、脱出目標金額までもう少しとなった。ところがある晩、県の引揚援護課に勤める若者と麓の巡査、更に一旦は村を出たエミコの初恋の少年・浩二が鉢合わせてしまった。しかも、浩二が殺人を犯し手配中だったことから、巡査ともめて大騒ぎ。3人の男たちとユミエ母娘は、壮絶な殺し合いを演じるのだった……。それから1年後、村からの脱出に成功したユミエとエミコの家の裏庭から、9体の白骨遺体が発見された。一体、ここで何があったのか? 捜査を進める警視たち。だが今となっては、全てを知るのは森の主である梟だけである。