劇場公開日 2004年1月17日

PARASITE DOLLS パラサイト・ドールズのレビュー・感想・評価

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3.0世紀末サイバーパンクの残滓

2024年8月16日
iPhoneアプリから投稿

80年代に端を発するOVAブームの中でもサイバーパンクというジャンルはかなりの人気を誇っていたように思う。『メガゾーン23』だの『ジェノサイバー』だの『CYBER CITY OEDO』だのタイトルを出せば枚挙に暇がない。劇場アニメに関しても『AKIRA』『GHOST IN THE SHELL』『老人Z』などのサイバーパンク映画が注目を集めた。

そんな古き良きサイバーパンク時代を踏襲した雰囲気のある本作だが、本作とほぼ同時期に『攻殻機動隊S.A.C』が制作されていたことを踏まえるとやや古臭い。『攻殻SAC』は押井版攻殻と異なりデジタルの明るい作画を活かした工夫が凝らされている。タチコマのようなコメディリリーフ的な存在が導入されたり、CGが巧みに組み合わせられていたり。

一方で本作は2002〜2003年の制作にもかかわらずセル画に拘泥しており、なおかつキャラデザインも硬い。言ってしまえば世紀末サイバーパンクを懐古的に再現しているだけに過ぎない。設定に関しても、東京湾上に都市が浮かんでいるとか人間味のあるセクサロイドとかいったどこかで見たことのあるようなものばかり。

脚本に『serial experiments lain』『ザ・ビッグオー』の小中千昭が据えられているものの、両作のようなパワーも求心力も感じられなかった。硬派趣味に走りすぎていてカルト味が足りない。言い換えれば真面目すぎる。「人間とロボットの共存」という主題から生じうるであろう問題とは何か?まあおおかたロボットの人格性とか暴走とかそのへんが妥当なアンサーだろうけど、んなもんわかりきってるんだからバカ正直に取り組まないでくれよと思う。どうせ3話ぶんしかないんだからもっと意味不明な脚本にしてほしかった。それこそ『イノセンス』みたいな。

レンズフレアっぽい演出だけは(当時からすれば)今っぽいような気もするが、それ以外はマジで世紀末サイバーパンクの安易な再奏でしかなかった。OPだけは死ぬほどいいんですけどね…

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