「西遊記×コンピューターゲーム=微妙」映画ドラえもん のび太のパラレル西遊記 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
西遊記×コンピューターゲーム=微妙
『竜の騎士』に引き続いて印象の薄い一作。
孫悟空となって暴れ回る夢から醒めるという冒頭部はまるで『男はつらいよ』のようで、ドラえもん映画も次第に長寿映画としての自覚を強めつつあるのかもしれないと思った。
学校の演劇で孫悟空役をやらせてもらえなかった不満から唐時代へタイムスリップしたのび太はそこで自分そっくりの孫悟空とすれ違う。
ボクに似た孫悟空を見せてやる!とのび太はジャイアンたちを唐時代に連れていくが、孫悟空はいっこうに現れない。のび太はヒーローごっこができるゲーム型ひみつ道具「ヒーローマシン」で孫悟空になりすますものの、すぐにバレてしまう。
嘘をついた代償としてジャイアンたちに「ヒーローマシン」を貸し出し好き勝手に遊ばせたところ、なぜか敵の妖怪が出てこない。不思議に思いながら現代に戻ってみると、何かがおかしい。のび太のママとパパは不気味な食事に舌鼓を打つし、西遊記の劇の脚本は牛魔王の勝利で幕を閉じる。
どうやら唐時代に遊んだ「ヒーローマシン」の中から妖怪たちが逃げ出し、そのまま歴史を書き換えてしまったようだ。というわけでドラえもん一行は唐時代に戻って妖怪を一匹残らず駆逐しに行く。
ザッとあらすじを書いたがマジでこれだけである。これ以上特に何もない。ちらほらとひみつ道具は出てくるものの、筋斗雲といい如意棒といい「西遊記」そのまんますぎてギミック性に欠ける。
のび太たちの活躍それ自体が後の「西遊記」になるという発想はそこそこ面白いのだが、それならばのび太たちの用いたひみつ道具が「西遊記」を範型にしていることの説明がつかない。あとコンピューターゲームという主題も、どうせやるなら『夢幻三銃士』くらいコテコテにやらないと意味がない。