「「性差」「文化」「嫉妬」で魅せる稀有なアニメ」超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか momokichiさんの映画レビュー(感想・評価)
「性差」「文化」「嫉妬」で魅せる稀有なアニメ
バリバリのマクロスTV版リアル視聴世代です。あの頃は放映される日曜日が楽しみだったなあ。バルキリーのプラモも買ってた。あと指で「バルキリー」「ガォーク」「バトロイト」と変形させて遊んでたなあ。(小学生らしい!)
この映画はレンタルビデオかなにかで観たような気がするのだが、ひょっとするとYouTubeで断片的なカットを見ただけなのかもしれない。とにかく綺麗に忘れていたので、今回、映画館で観れることもあって入場。
(以下感想)
TV版のダイジェストではなく、TV版をベースにしたオリジナル脚本だったとは。知らなかった。。。ミンメイが出会ったときから既に歌手だったり、輝とマックス、柿崎との関係も記憶と異なっている。敵もちょっと違うような。なにより映画で完結している。
しかしテンポがめちゃくちゃいいな!極限まで端折ってるのに、ちゃんと物語が破綻せず成立しているのが凄い。(私がTV版を知っている人間だから成立しているのかもしれないけれど。)
この作品の稀有な特徴として、以下の3つのキーワードを挙げたい。
■「性差」
男と女の「性差」をこれほどまでに意識した作品って他に類をみない。
異なる男と女という2つの生き物が、対立するのか、それとも愛し合うのか。
それから、男は男らしく、女は女らしく。。。「性差」というか「境界」をものすごく意識している。
しかし、このテーマは40年前だから成立したのかもしれない。ジェンダーレス、LGBTQ+といった概念が浸透し、男性の中性化や衣服のユニセックス化が当たり前となった現代において、この『性差』を軸とした物語は、観客に響きにくくなっているのではないだろうか。ぜひ若者の意見を聞いてみたい。
■「文化」
身を装う、化粧をする、テーブルセッティング、デート、そして歌。この作品の特筆すべき特徴「文化・カルチャー」。まさかこれで相手を怯ませることができるとは!凄い発想だ。まさにカルチャーショック!
廃墟で微笑みながら食器を並べる未沙の姿が印象的。人間は食べて寝るだけでは生きていけない。文化的な生き物なのだ。
■「嫉妬」
昼ドラ並みに三角関係を描く。しかも結構ガッツリ。こんなアニメって他にあったけ?
下記のシーンなんてもう地獄、、。(笑
輝:「ちょっと待って。ちがうんだよ。それはきみの誤解…。」
ミンメイ:「ちがうだなんて!誤解だなんて!あんまりだわ。あんまりよ!ああっ!!」
輝: 「ミンメイ!!」
未沙:「はやく追いかければいいじゃない。せっかくまた会えたのよ。遠慮することないわよ。同情なんて、されたほうがみじめ…。」
輝:「そんなんじゃない!」
いやあ、ほんと唯一無二のアニメだ!この独自性に賛辞を贈りたい。
※「性差」にも関係してくるが、登場人物たちのセリフ(特に男)に時代錯誤感を感じた。
◇輝 の台詞
「女の指図はうけるか!」
「ちぇっ、あれでも女かよ。」
「女だからってあまくみるなよ。下手すりゃゼントラーディより手ごわいぞ。」
◇フォッカー の台詞
「なんだあ、おまえそれでも男か!?」
「ったく、職務を離れたらすこしは女らしくしろ。」
「いいか早瀬、いくら士官学校首席といっても、おまえは女だ。ときには男の言うことがまちがっていても、そうですかって認めるのも大事なんだ。」
「男ってのはなあ、ときには強引さが必要なんだ。女の気持ちを考えてグタグタするな。ほんとうに好きならば、力づくでもものにしちまうぐらいの積極性が大事なんだ。」
「男はそのぐらい積極的じゃなくっちゃ、女はものにはできんっ!」
今ならなんちゃら団体からクレームがわんさかきそうだな(笑
※下記のやりとりは噴き出した。
ブリタイ: ふん、冗談だ。
エキセドル: ジョーダン?
ブリタイ: 知らぬか?
エキセドル: はい。
ブリタイ:ミンメイが教えてくれた、「本気ではない」という意味らしい。
エキセドル: デ カルチャー…。
ゼントラーディの2人は終始お笑いにしかみえんかったぞ!
※切り取り動画でなく、やっと流れの中で「ミンメイアタック」をみることができた!
※未沙とシタ後のシーンあったね。(シャツのジッパー上げながらきた)シタからこそ未沙になった?ミンメイとシテいたなら、、、。
※ここでも庵野さん!?
※コンサートの演出や未来の看板、掃除ロボットなど。40年後の現代に、実現しているものもあれば、実現していないものも。面白い。
※ガウォークの下で雨宿りするシーン。ガウォークかっこいい!
※TV版を観ていた時はミンメイの輝を振り回す小悪魔的な感じが苦手だった。(小学生だったが)でも今回はミンメイのその天真爛漫な可愛らしさにやられた。
※画質はどうしても見劣りするなあ。でもすぐにそんなことどうでもよくなる映画です!
※観客は50〜60歳ぐらいのオッさんと、たまにオバさんばっか。(私もその内の1人だが)終わりと同時に拍手がわきおこったの初めて体験した。