「宇宙に響く、愛の歌。」超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか しゅわとろんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5宇宙に響く、愛の歌。

2025年1月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

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幸せ

アニメファンであればタイトルを聞いた事くらいはあるだろう「マクロス」シリーズ。その初代にあたる「超時空要塞マクロス」の劇場版である。
私はマクロスに触れたことが無かったのだが…全く問題無かった。それどころかこの名作をまっさらな状態で鑑賞出来た事がこの上なく嬉しい。

西暦2009年、謎の宇宙艦隊の襲撃を受けた地球。巨大宇宙戦艦・マクロスは多数の人々を乗せ、太陽系外へと脱出する。人々は広大な艦内に市街地を作り、地球を目指して宇宙を漂っていた。
人気歌手リン・ミンメイのライブ中、マクロスは敵の艦隊に遭遇、戦闘となる。敵の迎撃に当たっていた一条輝は、マクロスに侵入した敵機からミンメイを救い、親しくなる。この出会いから、数々の運命が動き出す事となる…。

TVアニメ版を再構成して纏めたシナリオとの事だが総集編感はあまり無く、むしろ1本の映画として良く纏まっていた。マクロスについて何一つ知らない全くの初心者の私がかなり楽しめたのがその証拠だ。
SF、戦闘機・ロボアクション、歌、恋愛と様々な要素を内包した物語だが、無駄なシーンは少なく、小難しい要素もそこまで無い。取っ散らかる事も中だるみする事も無かった。キャラクターの感情表現もアニメ的なデフォルメ感は少なく非常に繊細で、思わず胸打たれるシーンが沢山あった。
「歌」から始まった物語が、「男と女」「人にとっての『文化、娯楽』」といったテーマに繋がってゆく構成は、とても80年代のアニメとは思えない。様々なアニメが乱立する現代においても十分通用するレベルだ。当時の衝撃は一体どれほどのものだったのだろう。

画作りも極めてハイクオリティだ。板野一郎氏が参加した、無数のミサイルがアクロバティックに飛び交う戦闘に始まり、緻密に作画された戦艦、壮絶な戦闘をバックに語り合う終盤のシーン……印象的な画が幾つもある。

そして忘れてはならないのが音楽だ。ミンメイの歌が挿入歌として数多く流れるのだが、どれもこれもシーンの印象にマッチした名曲揃い。何よりもラストの戦闘における「あの曲」は、展開も相まって胸を打つ。ボーカル曲だけでなく、勇ましいバルキリー隊のテーマ曲等も良かった。

ラストにほんの僅かの突っ込み所と、一部台詞に時代を感じる部分もあるが、よほどそういった事を気にしている方でもなければエンタメとして問題の無い範囲だ。アニメ好き・SF好きであれば見て損は無いだろう。
性別問わず、是非とも沢山の方に観て頂きたい。そして耳で、目で、宇宙、歌、そして愛を感じて欲しい。

しゅわとろん
momokichiさんのコメント
2025年2月6日

しゅわとろんさんのレビューに大いに共感しました。
この作品で初めてマクロスに触れた人でも大いに感動できると知り、マクロスという素材だけでなく、この映画自体もやはり素晴らしい完成度だったのだということを改めて確認できました。

momokichi