「池脇につきる」ジョゼと虎と魚たち(2003) プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
池脇につきる
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大学生の妻夫木が、足が悪くほとんど外に出ない池脇と出会う。
親しくするようになり尻軽な妻夫木はちょっとした恋心を覚えるが、
池脇の唯一の身寄の婆が、もう来ないでくれと言い、終わる。
あなたのような男は池脇の力にはなれない、というのが理由だった。
やがて婆が死に、それを聞いて心配になった妻夫木は池脇の家を訪れる。
歩けない池脇が一人で生きるのは大変で、寂しい思いをしていた。
そして自ら誘う形で妻夫木に体を許してしまう。
妻夫木は付き合い始めの彼女と別れ、池脇との同棲を始める。
妻夫木は法事のために帰省する際、池脇を連れて行く。
しかし直前で障害者を紹介するのが怖くなる。察した池脇は海へ誘う。
こうして池脇は初めて海を見たのだった。
やがて妻夫木は元の彼女とヨリを戻して去る。ええええええ?
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障害者との付き合い方の難しさを感じさせられる映画だった。
障害を持って人と接する事なく生きて来て少しゆがんではいるが、
大人になっても純粋さを持っている女性を池脇が好演していた。
このような弱い立場の女性を救ってやりたいと思う男は多いだろう。
でも妻夫木は優しいが中途半端で逆に人を傷つけてしまうタイプだった。
目先の楽しさしか追えず、責任感もまるでない、腹の据わらない男だ。
彼女といても池脇の事が心配で思いっきり上の空になってたり、
しまいにゃあ、池脇を捨てた自分を責めて泣き出す始末。
彼女の前ですることちゃうやろう、そんな事。
こういうしょーもない男は最初から障害者に恋なんてすべきではない。
いや、違うか。若い頃は誰だって遊びたいばかりで責任感も薄いけど、
障害者との出会いによって初めて腹が据わる人間がいるのだと思う。
実際にそういう立場になってわかる、その人間の真の価値なのかもな。
そして多くの人間はそこを明確にするのが怖いから逃げてるのかもなあ。
そういう意味では、最初の一歩を踏み出した妻夫木は偉いとも言える。
うーん、難しいなあ。
そもそも池脇のキャラは映画的に愛せるキャラ設定になってるわけで、
現実にほとんど人と付き合った事ない人間ならもっと人を怖がるし、
大人と対等な会話なんてできるとは思えんしなあ。
さらにあんなに肌が綺麗じゃないし、愛らしいルックスでもないだろう。
それがなければ、やはり妻夫木も一歩を踏み出してなかったんやしな。
主人公がもっと慈愛を持った芯のある男で、しっかり責任を持ったら、
映画としては面白さがなくて成り立たんわけで、
あえて主人公をショボい男にすることでようやく映画が成立する。
そしてその映画を見た人々が色々と考える。
だから映画としてはこれでいいのだと思った。