「レトロ感がとても良い」海がきこえる yumekoさんの映画レビュー(感想・評価)
レトロ感がとても良い
とても懐かしい。
胸がキュッとなった。
懐かしすぎて、あの頃に少し戻りたい気持ちにもなり、目がうるんだ。何十年も、こんなに時間が過ぎてしまったのだな…としみじみ。
ジブリ作品、知らなかった。
1993年、日本テレビ開局40周年記念番組として製作されたテレビ向けのスペシャルアニメ。
よくこの淡々としたストーリーをテレビで放送したなと思う。万人うけはしなかったのでは?私はとても好き!この作品を好きな人は、きっと細やかに人の感情を思いやったり、感情移入しやすい人なのではないかしら?表面的な出来事だけではなく、行間を読む…みたいな。
あの頃、SNSがあれば、もっと広がったかもしれない。あの時代に生きていたのに、私はこのアニメを全く知らなかった。だから、今回リバイバル上映を観ることができて、本当に良かった!原作本も読んでみたくなった。
レトロ感が良い!現代のアニメはとても美しいことに驚かされるけれど、このアニメのレトロな雰囲気、リアル感のない背景も、それがまた良い!サッカーのシーンでピクトグラムに出てくる人のような物が動いてるのも、違和感なく見れた。
このレトロ感。懐かしさ。
ああ、遥か遠い、高校生の頃を思い出す。まさにあんな感じだったな。
今のように携帯もLINEもない。
連絡は家の電話、外からは公衆電話。
スポンサーの関係だろうけど、
スプライトとカセットテープ。
先生と生徒のやりとり。
親友との会話。
体育の時間や部活で、好きな子を目で追うこと。
くだらないことで仲間はずれにされる(高校ではなかったけど、中学生の頃はあった)。
でも卒業して少し大人になると、あの頃は懐かしくて、ケンカしたり嫌いだったり、そんなことどうでもよくなること。
昭和の高校生はビールもタバコも経験していたこと。体育祭や学祭の打ち上げで、飲食店で普通にビール飲んでた。家でも。
そして、女の子はコークハイ。
初めて口にするビール以外のアルコール、コーラとウイスキー。里伽子がコークハイで真っ赤になってるところ、可愛かったな♪
ああ…懐かしい。
里伽子が松野に、
「高知も嫌いだし、高知弁喋る男も大嫌い!まるで恋愛の対象にならないし、そんなこと言われるとゾッとするわ!」
と言った時は、うわっ、ゾッとするは傷つくよ〜って思ったけど、そこも10代っぽいなと思った。簡単に傷つく言葉を使ってしまうし、ちょっとしたことで傷つく。いろいろと免疫がついていないし、いろいろと浅はかだ。
里伽子のワガママさは、10代だからこそ!複雑な環境でとてもナイーブなのだ。いろんな受け取り方があるだろうが、この感覚がわからない人と私は本当に感性が違いすぎるんだろうなとしみじみ感じる。
高校生の頃、自分はもう大人だと思っていたけれど、やはり考え方はまだまだ子供だったなと今は思う。10代の頃の身勝手さや子供っぽさ、なんであんなにこだわってたのだろう?とか、そんなことを思い出させてくれる、とてもナチュラルな映画。
拓が里伽子にビンタされた時、お返しに里伽子をビンタするところは嫌だった。「ゾッとする!」はひどいだろ!って里伽子に言ってほしかった。それに、どういう状況であれ、女性に手を挙げるのはいかがなものか。私は嫌だった。現代ではそれも、男とか女とかの男女差別になるのだろうか?
東京のホテル。
私が初めて東京に遊びに行った時、母と2人で泊まったホテルが新宿のハイアットリージェンシーだったから、懐かしい!ってなった!部屋の窓が足元まであって、新宿の高層ビルに囲まれ、東京ってすごい!って思った。夜景がとてもキレイだった。夜中にルームサービスで母と食べたお茶漬けがとっても美味しかった。
何もかも、遠すぎる思い出。
書き留めておかないと、忘れてしまう記憶…。
そんなことを思い出させてくれた映画だった。
里伽子の標準語と高知の方言の対比がとても良い。ちょうど朝ドラ「あんぱん」の舞台が高知で、方言が親しみがある。男性の使う「〜にゃ」が好き。かわいい♪
標準語って地方の人からすると、なんとなく冷たく感じる。温かく感じる方言。主人公の描写にも上手に重なって。なんで、高知弁をバカにしているという感想になる人がいるのか…?バカになんてしてないよ。人物像とストーリーととてもマッチしているのにな。
ああ、このいろんな想いを書き留めたいけど、うまく書けない。ただひとつ、私は好きな映画だったということ。
曲もとても良い!サントラ聴いてます!
ケータイやSNSで便利になった現代に生きるこのアニメの中の登場人物の年代の若い人たちは、どのような感想を持つのだろう?
このアニメを大きなスクリーンで観ることが出来たことに感謝。
ありがとうございます。
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