「何だ、こんなものかと思ってならなかった」呪怨 雨雲模様さんの映画レビュー(感想・評価)
何だ、こんなものかと思ってならなかった
劇場版の「呪怨」が上映されたときのことを思い出しながらNetflixで拝聴をさせて頂きましたが、見ていて思わず「何だ、こんなレベルのものか」と思えてならず、言い方が悪いかもしれませんが、何だかお化け屋敷の中に出てくる役者の演技で驚かされるような感じすら見て思いました。
キャラクターの設定もおかしいと思います。
一人ひとり、あの家に関わったことで次から次へと変死していく姿は怖い。
ただ謎が謎で、なんであのお婆さんがあの家に住んでいるのか、いつからあの家に住み始めたのかそして息子夫婦が変死してもなお、発狂した様子も無し、あのお婆さんを出すことで恐怖演出をさらにしたいというのであればもっと事件があった家族との接点の繋がりはあってほしかった。
そして最大の疑問が、事件の被害者である伽耶子が、家に入ってきた客を次々と襲い掛かってくるという設定も、「呪怨」というタイトルの通りに殺された呪いをなぜ関係のない人に対して自分の怒りを向ける?夫に対して、自分の怒りをぶつける気持ちがあるのは頷けるが、関係のない人に向けてはただただ何をしたいのかがわからなくなってしまう。伽耶子をメインにしたいのであれば最初から伽耶子がこの世に強い未練を残すような、夫に殺されるのではなく自分が家族の命を殺めた設定にするべきだったんじゃないかなって思います。最後に出てくる夫も、不審死と言う割には明らかに出血していますし、こりゃあもう伽耶子の呪いというには・・・死んで幽霊になった直後に夫を殺すというのはさすがにありえないでしょう。
キャラクターが多いのは魅力的ではありますが、一人ひとりどう繋がって、どう接点があったのか、その点があまり整理されておらず、私だったら伽耶子の無理心中を図ったとして、自分の息子の俊雄の遺体だけは、見つからぬような場所に隠して、探されては困ると思いあの家を調査にしてきた人をターゲットに、伽耶子が地縛霊としてやってきた人を家の中で次々と襲い始めるというのが、リアリティがあり怖さも増すと思います。俊雄の遺体が「今も行方不明」という設定ならば今もあの家で遺体が眠り続け、魂が彷徨っている、そして彷徨う魂を救うため遺体を探し出してやっと見つけた!というような設定があっても欲しかった。また、夫の死因も明らかにするべきだった。「外で不審死」というだけで、あの最後のシーンを見る限りでは明らかに車か電車か、何かではねられたか、不審死したというにはあの大量の出血している姿を見る限りでは、お亡くなりになった死因が特定されないのはおかしいと思います。そのあたりもあまり映画の中では触れられずに、ただただ伽耶子は怨霊として襲い掛かってくるという設定でショートオムニバス方式で繰り返し恐怖演出をしているだけのような気がして、見れば見るほどワンパターンすぎて、ストーリーもだんだん読めてしまうので、怖さもなくなってしまいました。