壬生義士伝のレビュー・感想・評価
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大切なこと
江戸時代末期、東北のひどい飢饉の最中。
仕える藩の俸禄では、家族皆死んでしまう。
気づいた吉村は、
裏切り者と言われようと、
家族の為に脱藩して、出稼ぎ単身赴任のような
立場で金を稼ぎ仕送りする生活を送る。
仕えた先は新撰組。
凄腕ながら、金のことになると目の色を変え、
隠そうともしない吉村。
幕末、大政奉還もあり、
どちらが官軍となるか薩長との戦い。
いくら腕の立つ者を揃えていようと
銃や大砲には素手と同じ。
降伏を呼びかけられたにもかかわらず、
一人南部武士の義を果たす、と
立ち向かって行ったにもかかわらず、
なぜ、今さら幼馴染の大森に
助けを乞いに行ったのか。
家族に会いたいなら、
なぜ降伏しなかったのか。
義を通し切りながら、
瀕死の今、
最後は
やはり義よりも家族だったのか。
立派な刀は息子に授けてあげたく、
自身の古い刀で。
吉村の名誉の為、
義を通し切らせる為
使いの千秋と佐助は、切腹が吉村の本望と。
息子まで、いや、息子は、
父を一人にさせたくないからと。
家族を思う吉村の最後の願いを聞かず、
名誉の死を遂げさせた大森は、
自分も義を通さねばと考えたのだろう。
新撰組当時の仲間斉藤が、
命も顧みず無鉄砲な存在であったにもかかわらず、
生き延びて可愛い孫を連れ歩くのと好対照。
命を軽く見ていた時代。
義の為に人の命も自分の命もすぐ
亡くしてしまう時代。
義も大切だが、命が大事と思った。
登場人物が多すぎるが故に描ききれてない感が
原作を読んだ上で観たため、
2時間の映画では、物語がおさまらなかったな感があります。
佐藤浩一演じる斎藤一の、狂気、人間臭さ、不器用さ、吉村への羨ましさや嫉妬、うまく表現されていてよかったです。
パッ見はひ弱で金に糸目のない貫一郎、物語が進むにつれて分かる脱藩の理由、父としての姿、義を通す姿、そして命乞いまで、貫一郎のもついろいろな姿を演じ分けていました。
ですが、脚本の影響なのか、途中しづとの関係性が薄っぺらく感じた。そして、中井貴一は役作りなのか頬がいい具合にこけていて、貧乏な感じがしたけど、しづを演じる夏川さんは綺麗ですが健康的な見た目で…本当に貧乏?となってしまいました。
寛一郎と次郎右衛門の関係も薄く感じました。原作では、寛一郎と次郎右衛門の関係性、息子である嘉一郎と千秋の関係性が濃く描かれていたがために、残念。
斎藤一に力点をおいた影響で、家族や次郎右衛門の関係性が薄くなっちゃってました。ここまで斎藤に焦点をあてた理由はなんだろう。
奉天に行く前夜?の回想録という設定はよかったです。原作ではすでに奉天に行った後で千秋が登場するので、原作にはない設定で面白かった。
最後の最後に、佐助がでてきたのもよかった!
原作とリンクしたシーンには、結局、何回か涙しましたw
たしかに前半はよかったです
前半はよかったです。役者も皆達者でした。でも後半がね~。
南部武士としての誇りを捨てても家族を喰わすために脱藩し、恥を飲み込んで金の亡者になった、それほどまでに愛した家族なのに、勝手に砲列の前に突っ込んで死んじゃったらその後の家族は餓死するじゃん。脱藩した藩の屋敷に逃げ込んだら親友以下みんな迷惑するじゃん、であんたの生き方のせいで親友も息子も結局死んじゃうし、なにこれ?全然美しくないじゃんって感じでした。
それを美化して泣かそうとされてもなぁって感じ。
藩邸でのだらだらした回顧も、繰り返される愁嘆場もだるいだけで、滝田洋二郎っていい監督だと思ってるんですけど、どうしちゃったんだろ、なんでこれでアカデミー賞取れるの?日本の映画ってそんなにレベル低いの?と思いました。
ということで、脚本はろくでもないと思いましたが、役者も映像もいいので、期待しないで金を払わず暇つぶしに見るならまあオッケーな水準にはあります。
新選組でいちばん強かった男
Amazon Prime Videoで2回目の鑑賞。
原作は未読です。
家族を愛し、故郷を愛し、義を守るために、幕末の京都を駆け抜けたひとりの侍、吉村貫一郎の生き様が胸に迫って来ました。南部盛岡藩で貧しい暮らしを送る家族を養うために、断腸の想いで脱藩して新選組に入隊後、危険な任務も厭わず人を斬っていく貫一郎…。「おもさげながんす」を口癖のように言いながら、受け取った給金をせっせと家族の元へ送る日々…
人殺しとしてしか生きられない己自身を嫌悪していた斎藤一は、新選組と云う血生臭い集団にいながらも、人当たりが良く心優しい態度を崩さない貫一郎と出会ったことで、当初は彼を憎悪していましたが、徐々に心情が変化していきました。
やがて倒幕が主流となり、新選組が属する幕府側は賊軍に落とされ、鳥羽伏見の戦いが始まり、激烈な戊辰戦争へ…
貫一郎と旧友・大野次郎衛門の友情は、涙無しには観られませんでした。満身創痍で大阪蔵屋敷に駆け込み、帰藩を願い出た貫一郎に、非常にも切腹を命じた大野…
立場上、貫一郎ひとりの命のために、藩全体を危険にさらすわけにはいかず、友情と職務を天秤に掛けての苦渋の決断だったことでしょう…。その心中や如何ばかりか?
中井貴一のひとり芝居が胸を打つほどの名演技でした。
家族ひとりひとりへ、明るい未来が訪れることを信じて言葉を遺し、故郷に想いを馳せながら、最後の意地とばかりに盛岡の米で握られたおにぎりには手をつけず、大野から情けで渡された大和守ではなく、グニャグニャの刀で腹を切った…
少々冗長気味でテンポが崩れてしまっているような気がしましたが、長回し撮影によって感情が途切れること無く、ストレートに伝わって来る名シーンでした。
※修正(2021/10/20)
「壬生義士伝」を観て・・
浅田次郎の原作小説を読んでDVDを観た。ストーリーは、南部盛岡藩を脱藩した足軽の男が、妻子を国元に残して京都の新撰組に属して活躍した物語。守銭奴と蔑まれ、剣術が達者な主人公・吉村貫一郎の義を貫いた「男の生き方」に共感した。映画では主人公に中井貴一、新撰組の斎藤一に佐藤浩市が演じている。二人が熱演で良かった。感動した・・2003年の作品。
有りそうな歴史小説
浅田次郎の長女が岩手の医大に入学したことが、きっかけとなって作られた小説らしいが飢饉で口べらしのために吉村の妻が入水自殺しようとするところなど時代背景も良くわかり父親の愛ゆえに守銭奴をおかしく演じているのも良かった。最後切腹を命じられ、どんなに妻子に会いたかったか。
佐藤浩一もカッコよかった。
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