千年女優のレビュー・感想・評価
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薄っぺらい
恋愛を描いているようで、謎の男とは一晩かくまっただけの関係で、ひとめぼれみたいなものだ。鍵も結局なんの鍵か不明なままの空手形だ。千代子が走ったり突き飛ばされたりする場面が時代や場所、状況を変えて繰り返される。名作映画のオマージュがこれでもかというほどがんがんあって、その走ったり突き飛ばされたりの連続をやりたくて、物語や登場人物を後付けしているのではないだろうか。絵面が先にあって、それをドラマとして成立させるための恋愛や執着、人生、人物なので空疎なのだろう。
退屈はしないし、画面は見事だ。
恋をする乙女。 ただ男に貢ぐでは手に入らない華のようなものが恐ろし...
恋をする乙女。
ただ男に貢ぐでは手に入らない華のようなものが恐ろしくもカルマでもあるという、、
地味な作品かなーと思ってたけど面白かったです。
自分だったらあのネチこいお局女優さんにフォーカスしたい。
パーフェクトブルーも見たいなあ
無限の可能性
時限を超えて、空間を超えて。
アニメーションだからこそできる表現。
アニメーションだからこそ活きる物語。
アニメーションに無限の可能性を感じた。
20年も前の作品で、監督はすでに亡くなっているとは!
上映前に飽きるほどアニメの新作の予告を見せられたけど、ファン以外観に行かないだろうってのばかり。
なんとももったいない。
つくづく今敏監督の早逝が惜しまれる。
満月の表現が面白い
期間限定上映にて、映画館で観てきました。
年老いた藤原千代子という女優の回想シーンが彼女の演劇とリンクして展開していく内容でした。
謎の男が満月を語るシーンが奥が深いと感じました。謎の男曰く、満月になる前の14日が好きなんだという話だったと思います。何かに夢中になっている時、満月になる前の過程が一番楽しい時間なんだと思います。
時折登場するお婆さんも、もしかしたら千代子の年老いた姿かなと思うと、なかなか奥が深い映画のように感じます。老化する前に人生を楽しもうというメッセージかもしれません。
不思議でちょっと惜しい!
不思議な映画だった。映像を観ているだけでも楽しめるような感じがしてワクワクした。しかし、主人公がひたすら追いかける相手の描かれ方が弱い気がした。もっと面白いストーリーにできれば、凄く面白い映画になれたはず。
惜しい映画。
「考えるな感じろ」系映画だろうか?
ずっと目が離せない映画の映画。というか まさに女優の映画。捜し物系映画であり、お届け物映画であり、恋に恋するコケる乙女の純愛物語でもある。年老いた元女優が信憑性が無い過去を語る物語なのに『タイタニック』とは違う印象のアニメ。
今敏監督の劇場アニメの
『PERFECT BLUE』(1997年)
『千年女優』(2001年)
『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)
『パプリカ』(2006年)の
たった4本の中の1つで、もう他に見れないのはとても残念。
何でこのタイミング(2024年)で今作が映画館でリバイバルされるのか分からないが、スクリーンで観る大チャンス。なのに鑑賞した上映スクリーン(約80席)では自分1人だけで貸し切り状態だった。
円環
以前配信で観ていましたが、リバイバル上映を機に改めて劇場にて。
万華鏡のように場面がくるくる替わり、話を聞いているインタビュアーの2人が目撃しているのが千代子の記憶なのか、出演した映画作品の中なのかわからない虚実が混沌とした世界。
この手法は、「描かれたものが現実感を持ち、魂が吹き込まれる」アニメーションならではの描写(イリュージョン)だなと。
このようなビジュアルはアート性を高く有し、構成もまた観る側が想像力を駆使しなければならず、海外で先行して評価されたのもわかる。
顔のアップに全部セリフで説明する作品に慣れたアニメファンが多い日本で、最初は評価されず、評判になったのは海外の評からの逆輸入的だったのもわかる。
また、老婆の回す糸車のように、因果はくるくる回って円環をなし、追いかける姿が無限に感じるくらい繰り返される。
その円環をうまく繋げるように、効果音も音楽も計算されつくしたように回っていました(故に、映画館のスクリーン&スピーカー環境で観た甲斐はあったと思いました)。
その果てにたどり着く真理が、最後に千代子の口からセリフとなる。
過去に読んだ様々なレビューに「最後のセリフでずっこける」みたいな評が多かったのですが、(知っていたこと以上に)観直してむしろすとんと腑に落ちました。
純愛に見せておきながら、実はかなり早い段階で本人がそれに気づいていた節がある描写だったように思えたからです。
常に、何かを(誰かを)追いかけている自分自身を好きであり続ける、永遠の子どもな部分(少女性)。
それはまた、千代子を追い続けていた立花の青年の日の恋心とも重なって、円環を成す。
過去の様々な邦画へのリスペクト満載なオマージュも、映画というものの円環でもあったような。
上手い演出・構成だなと、改めてしみじみ。
今更に、今 敏監督が若くして亡くなったことが惜しまれました。
「大人の」アニメとしては十分楽しめる
今年36本目(合計1,128本目/今月(2024年1月度)36本目)。
アニメ作品についてはあまり書かないほうなのですが、見てよかったので。
このアニメ作品はかなり前のもので、何かのキャンペーンかで2週間?限定で放映されているようです(1日6放映とか普通にある)。
アニメ作品なのでお子さんがみても…「形式的に」楽しむことはできますが、この「アニメ」タッチの作品の真のターゲットはやはり大人なのではないのかな、と思います。
「史実として」みたとき、作内で描かれる明治・大正・昭和時代の描写がどの程度正しいのかはわかりませんでしたが、少なくとも変な描写にはなっていないので、この点は少なくともどこかのチェックは受けられたのだろうと思います。
古い作品がこのようにリバイバル上映として流れるのはとても良いことだし、それは「良い作品は何度でも流されてみるチャンスがある」ということでもあり、またそのような機会が実際に存在するのがこの例であり、多くの方に(趣旨的に、日本に適法に在住している外国人の方も。日本語学習で、明治や大正時代のことはならないと思うので)見て欲しいなといったところです。
ただ、過去作品だけあっていわゆる「グッズもの」がなかった(私がいった映画館がそうだったのかな?)のが残念でした。
特に採点上気になる点までないので、フルスコアにしています。
恋もキャリアも突っ走れ!
パーフェクトブルーに続き話題の今敏監督作品
現実と回想、更に時間軸がごちゃまぜになる不思議な感じは似ていると感じた 絶望🔁希望は大女優の波乱万丈な人生を、出演作品に人生オーバーラップする様も面白い描き方 一目惚れのシーン、何かと地震が起こるのはすずめの戸締りもこの作品を踏襲か?と思ってしまった 最後の意外なセリフも人生ってそういうものかな?と妙に納得した
すごいアニメーション映画だ…。
気になってた作品だったので期間限定のリバイバル上映を機にありがたく鑑賞。結果、劇場で観て正解だった…。
女優であり、一人の男性をひたむきに追い続けた女性、千代子さんの実際の思い出、彼女の出演作のストーリーや演出、そしてインタビューを受けている現実が行ったり来たりしながら混ざり合って進んでいくストーリーと制作者のイマジネーション。圧巻だった…。
宇宙のロケット発射のシーンから始まって、どう話が進むのかと思っていたら終盤に見事にそこを回収し繋げてくる。1本のアニメーション映画作品として本当に素晴らしい。
作中での千代子さんのインタビュアーであり、彼女の過去を知るファンでもある立花とその助手が、彼女の思い出と現在を繋ぐ構図がまたうまいんだよな…。
ともすれば過去に入り込みすぎる千代子さんと立花を、立花の助手がツッコミを入れたりすることで現在のバランスが取れるようになってる構図もうまいなーと驚く。
構成と表現の巧みさに素人ながら感動してしまった。
今敏監督作品は「パプリカ」も観てる人間なんだけど、現実と非現実の境目を消してくるアニメーション表現が本当に上手い方なんだなあと改めて思った。
そして本作はやはり千代子さんという格となる人物がとても素敵だった。
女優としてのシーンもあるために平安から現代までの様々なファッションで登場する彼女は、いつでも脇目も降らずに「鍵の君」を追いかけていて、その目は彼を捉えるために前を向いている。
彼女の澄んだまっすぐな瞳が最後まで印象的だった。
また、あの人を追いかけて
リバイバルにて、何気に今敏作品は初鑑賞。
20年以上前のものとは思えないくらい、非常に面白かった。
どこが現実でどこが映画だとか、回想での源也たちの立ち位置だとかは考えない。
もしかしたら正解があるのかもしれないが、雰囲気に身を任せる方が楽しめると思う。
カットの繋ぎが抜群に上手いので、場面の切り替えさえ面白く観られた。
単純に言ってしまえば、一人の女性の執着とも取れる一途な悲恋のお話なのだが…
特殊な構造と演出によって、いま観ても新しいものになっている。
「明日に希望のある十四夜の月が一番好き」という台詞が、千代子の人生を肯定してくれるのも素晴らしい。
(「あの人を追いかけている私が好き」と台詞にしてしまったのは少し残念)
最後まで鍵の君の顔が描かれないのも、老いた千代子目線での意味のある演出。
ところどころ声とのズレはあったけど、口元が目茶苦茶よく動いていたのも印象的でした。
個人的には千代子のキャラデザと衣装がとても好み。
特に女学生時代の、ロングコートの裾から更に10cmくらい長いスカートが揺れる様はぶっ刺さります。
(世の女性がた、是非冬はあの格好をして下さい)
今敏監督を知って欲しい!!
はい。又また今敏監督作品が劇場公開される喜びを噛み締めております。
私は監督の大ファンで、1人でも多くの方に作品を観てもらいたいと思っていて。
でも、今身近にこ〜ゆう(ど〜ゆう?!w)作品をオススメ出来る人がいません( ; ; )
だから映画が好きな方、この作品を観ようと選んでくれた方と一緒に又、監督の作品を劇場で観られる事が至福なのです。
何か変な思考に至っていて、自分でも気持ち悪いのですが(°▽°)
とにかくこの、今敏監督作品を体験して欲しい。
今はもう、この作品が作られた時代より技術も進歩しているし、画質とか古くさい?って感じるかも知れませんが、それを上回る出来栄えですから!
後悔はさせません。
是非劇場へ行って欲しいです。
(パーフェクトブルーの時は大入だったのに、本作は娘っ子3人しかいなかった〜泣
そして上映後彼女らをチラ見したら小首を傾げていたよ(°▽°)
何なに?どーだった?!ちょっと話そうか!とは言えず。。気になるおばさんモヤモヤw)
今敏監督作品では「パプリカ」派が多いのかな?
「東京ゴッドファーザーズ」も劇場でかかって欲しいな!
ちなみに私は「パーフェクトブルー」が最高に好きで、初見の衝撃は今でも忘れられません。
悲しすぎるかな、もう監督の新作を観る事は出来ません( ; ; )
皆さん全部観て下さい!
14日目の月には、明日がある
《千年女優》
14日の月には明日があるから好きなんです。満月の後は欠けていくだけだからと言った男性の面影を原動力に進み続けた大女優千代子。千代子は叶えられない事を知らないフリをし続けていたのかもしれない。思い通りにならない毎日のその先にはっきりと"希望"が観えた気がした。初見スクリーンで観られたの幸せ過ぎる。
現実と虚構の交錯は何が正しいかというよりも何を正しいと信じるのかが試されている気がする。全てはダイナミックな自分の覚悟から、生ぬるい希望のメッキはいともたやすく剥がされてしまうだろう
再上映されてて良かった!
『千と千尋の神隠し』と同じ時代だからジブリの影で、タイトルも松本零士の千年女王に一字違いはなにそれって当時は思って観てません。
けれど何これ?女優のインタビューが当時にタイムスリップしたかの如く再現されて、時代を現実と映画が交錯して、この千代子さんは女優ですねとワクワクする話でした。
千代子さんの70代の声を担当された声優さんが女優の誰かさんに似ていて(勘違いかもしれないけど女優声です。)、あぁこの声は映画の昔の世界に引き寄せてくれるって楽しんで観てました。
映像も当時海外に作らせた中でも良かった方(2001年作)ですよね。中国や海外に制作を依頼が増えて、出来映えは日本人に制作させたモノより落ちるという信仰が全部本当じゃないってわかる良作でした。
傑作
追い求め続けること。
どれだけ困難でも、万人から後ろ指をさされたとしても、自分の道を貫くこと。
映画のテーマとしては極めて難しいものだと思いますが、エンターテイメントとして非常に見事なかたちで落とし込まれていました。
プロットや演出、音楽など一本の映画という枠を最大限に使いそのテーマを表現しきった監督の唯一無二の才能を感じされられましたし、
自らその道を歩み、自身を以て体現されている人物だからこそ出せると思わせる力強い説得力がありました。
これほどの映画を劇場で鑑賞する機会があったことが非常に幸運だったと思います。
何度観ても心に染みる不朽の名作を再び劇場で
昨年2023年にあった「パーフェクト・ブルー 4Kリマスター」に続く、今敏監督作品リバイバル上映 第二弾
今回も素晴しい体験でした
今監督作品を再び劇場で観る事 自体に大いなる意義を感じます
パーフェクトブルーの時と同じく、観客の半分以上が若い女性の方々、こうやって現代の若者たちと不朽の名作を劇場で一緒に見られる体験自体が私にとってはたいへん貴重で映画ファンとしては感動すらおぼえます
久しぶりに観ましたが、やはり今監督作の絵(画)がすごく綺麗で好きだなあと思ったし、とにかく作品全体からパワフルな勢いを感じ圧倒されます
大女優 藤原千代子がインタビューで彼女の人生を振り返るのを当時の再現映像で表現、しかもその語り方が二重の入れ子構造になっていて、さらにそれが現代と行ったり来たりする見事な構成にあらためて感心、これを20年以上前にやっていた監督に脱帽です
めくるめく千代子の人生を一緒に歩みながら、オープニングからエンディングまで一気に駆け抜ける勢いは何度観ても気持ち良い超疲労感(笑)
そして今回感じたのは、ラストにいろんな役の千代子が連続でフラッシュバックしていく描写が「エブリシング・エブリウェア・オール・アットワンス」でいろんなマルチバースのミシェル・ヨーさんが同じようにフラッシュバックしていく描写そっくりだなあと思いました
やっぱりこれを20年以上前にやっていた今監督の神がかった力量はただ者ではありません
そして、ラストの千代子のセリフは彼女の生きざまそのもので本作の全てを物語っており、「千年女優」というタイトルも心に染みました
何度観てもいいなと思える傑作の劇場リバイバル上映に大満足でした
見応えのある映画
Filmarksのリバイバル上映で鑑賞。こんなに見応えのある映画だとは思わなかった。立花が既に亡くなっていた事実を知らないまま、千代子は過去の映画撮影を夢見て、宇宙の彼方まで立花の事を追い掛けて生涯を終える。
千代子が途中で気づいた、あの人を追い掛けている自分が好きだという自我も、顔を思い出せなくなったという、立花を追い掛け続ける動機を補完しているように思う。
映画を見ながら、「可愛い」と言ってる自分が好きだという女の子の心理について思い浮かべた。それが可愛いと思っている本心を否定しているわけではないように、立花を追い掛けている自分が好きだと気づいた千代子も、一方で純粋な思いを否定しているわけではないのだろう。
キャラクターデザインや表情の描写も素晴らしくて、顔がスクリーンでアップになってもがっかりさせられる事はなかった。浜美枝さんや若林映子さんといった往年の女優の半生も彷彿とさせる。黒澤明の青年時代に似た人物も登場する。あの時代の日本の映画人の造形が、上手く再現されているように感じた。
全94件中、21~40件目を表示