「千年を超えた恋」千年女優 レインオさんの映画レビュー(感想・評価)
千年を超えた恋
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最初に目に入ったのはショットとショットの繋ぎ方だった。
一般的な物語映画特にハリウッド映画はグラフィックの一致やアクションの一致でストーリーの連関性を保ったり、アクション・動きの変化で時間の経過を示したりする。スタイル映画はモンタージュシークエンスなどで早くショットを切り替えるのが普通。
しかし、この映画は、アクションの一致とグラフィックの変更という奇妙な組み合わせで時空を超えていき、人の興味をそそる。戦国、江戸、明治から月球まで千年の時空に演じきった女優を描く。今敏監督のこだわりが見られる。
内容的にはもはや現実と映画の虚構を分ける必要もなく、千代子はずっと追いかけることがわかると十分。全ては千代子自身の物語だと理解すれば十分。鍵の君を戦争と関連づけるのも一層映画を濃厚に作り上げた。反戦の意味も読み取れるのだろう。
特に、社長を妙に気にいる。カメラさんというツッコミ役もユーモアをも持ち込む。
深く考えるところ、みんな追いかけている、何かを。何かを大切にし(鍵)、何かの貴重な思い出を抱いてそれを追うための糧にしてる(出会い)。日常もその理想でいっぱい積み込まれてる(演じること)。追いかける自分も好きになる。だが、一旦心に穴が空いたら(鍵をなくす)、時間の経つにつれ、醜い自分を自覚する(年をとる)。諦めようとしたり(結婚)、日常から離れて反省したり(女優として消える)する。初心を忘れるというか、全て色が褪せる。
だが、死に近い頃、親切にしてもらうこととか(鍵が戻る)でまたその執着を思い出し、それを抱いて新たな夢に出発する。
千年女優、千年の魂、誰でも共感できる、また憧れる魂ではなかろう。
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