「クオリティに文句は無いが、ジブリで観たいのはこういう作品じゃ無いんだよ〜。」猫の恩返し たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
クオリティに文句は無いが、ジブリで観たいのはこういう作品じゃ無いんだよ〜。
スタジオジブリ制作の映画『耳をすませば』の姉妹編。
猫を助けたことでトラブルに巻き込まれる女子高生のハルと、命を持った猫の人形バロンとの冒険を描くファンタジー・アニメ。
主人公である吉岡ハルの声を演じるのは、当時は新進気鋭の若手女優だった池脇千鶴。
猫の国の王子ルーンの声を演じたのは、ドラマ『ロング・ラブレター』『ランチの女王』の山田孝之。
国語教師の声を演じたのは、ジブリ作品『千と千尋の神隠し』でも声優を務めた大泉洋。
ハルが想いを寄せる男子生徒の町田の声を演じたのは、『ガメラ2』の安田顕。
『耳をすませば』で脚本/製作プロデューサー/絵コンテを担当した宮崎駿は、本作では企画を担当している。
ジブリ作品では珍しい、過去作品の続編…とはちょっと違うけど、関連性を持った作品。
『耳をすませば』の主人公、雫の書いた物語という裏設定を持っている。雫ちゃん、小説家になれたんだね☺️
本作の注目ポイントは、主人公ハルを演じる池脇千鶴。
とにかく声優が上手い!そして声が可愛い💕
当時はキャリアも浅い新人女優だった筈だが、持って生まれた才能ということだろうか。声優になっていたとしても大成していたのは間違いない!
池脇千鶴の名演技のおかげで、ハルというキャラクターの魅力がグッと引き上げられている。
作画のクオリティも、流石は安心と信頼のジブリブランド。宮崎駿が絡んでいなくても、十分に素晴らしいアニメーションを作ることができることを証明してくれました。
実は本作はジブリの劇場用長編アニメで初めて、宮崎駿・高畑勲の両名ともが作画・演出面で携わっていない作品。
『耳をすませば』の監督、近藤喜文が亡くなってしまった為、いよいよスタジオの後継者に困ったジブリは、新人育成の為に宮崎&高畑から離れた映画制作を試みる。
後に宮崎吾朗や米林宏昌が後継者として扱われることになるのだが、実は本作からその試みが始まっていた、というのはあまり知られていなかったりする。
そういう意味で、ジブリ史の中では割と重要な作品だと言えるのかも。
宮崎・高畑離れを狙っていたからか、本作の雰囲気は全くジブリっぽく無い。
何というか、普通のアニメっぽいというか、マッドハウスとかが作ってそうなアニメ。
はっきり言って、こういうアニメをジブリ作品で観たいかと言われると、答えはNO。
クオリティは高いから観るのが苦痛だとかそんなことは全然無いんだけど、積極的に観ようと思うタイプの作品では無い。ジブリじゃなかったら間違いなく観ていなかった。
個人の好みから外れるといえばそれまでなんだけど、シナリオに緊張も無いし、キャラクターの掘り下げも中途半端だし、世界観の説明も疎かだと思う。
クライマックスの盛り上がり方は結構好きだし、十字街の街並みはかなり好み。
でも、まあトータルで考えると嫌いじゃないけど、そこまで好きでもない作品という印象です。
つじあやのさんの歌うエンディング曲はほのぼのしていて良い感じ。気楽にボーっと、それこそ猫になった気分で観るには良いアニメかもにゃー🐈🐈⬛🐈🐈⬛