「主題がばらばら」ホタル Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
主題がばらばら
総合60点 ( ストーリー:50点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
劇中のところどころに現れるやや説明的な科白が気になった。また過去の特攻隊隊員の場面は、隊員同士の会話というよりも舞台劇のように喋る彼らの科白の強調された言い回しや演技も気になった。だが作品を通して、戦争を背景にした三人の男女関係の心の底の秘めた思いが静かに伝わってきた。過去を語ろうとせずに妻を支えて今を生きる健さんの演技がやはりいい。
しかし戦争の足に長い歳を重ねる健さんと妻とのこと・朝鮮人特攻隊隊員のこと・妻と彼との関係が、作品の主題としてばらばらに感じられた。日本の兵士として死んだ朝鮮人のことを描きたいならば違う視点の脚本にしたほうが良い。綺麗な悲恋にしようとしているが、その割りには二人の関係がどう深まっていったかについてはしっかりと描かれていないし、日本人兵士として死にいく彼の朝鮮人としての苦悩も深く描写されていない。
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