「これが東映の50周年記念作品なのだ 情けないかぎりだ」ホタル あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
これが東映の50周年記念作品なのだ 情けないかぎりだ
不純物が多い
一体テーマは何なのか?
特攻隊員の生き残りの男と上官の恋人だった女性が夫婦となり、共に支え合って長い人生を歩み、振り返って平和の大事さを次の世代にも訴えることを中心に据えた物語なのか
戦前の大日本帝国の軍国主義を批判したいのか
朝鮮人特攻隊員の物語を描きたいのか
企画当初は最初のものがテーマだったはずだ
それがふたつ目のテーマを入れたくなり、そのためには三つ目のテーマまで混ぜ込んでしまった
そのために焦点の定まらない散漫な映画になってしまっている
焦点が合っているのは木村大作の美しいカメラだけだ
監督の思想信条を映画にするのは当然のことだ
ならばそれを堂々とテーマの中心に据えて撮るべきだ
こんな姑息なテーマのすり替えは裏切り行為だ
まして実在の食堂の女性をモデルにしながら、彼女がいいそうもない政治的言説なのに、監督の思想からでる台詞を叫ばせるのは卑怯だ
田中裕子も何故彼女が配役されているのか理解出来ない
彼女である必然はまるでない
この役ならもっと相応しい女優がいたと思う
むしろこの役に彼女は相応しく無い
ことに藤枝の孫役の新人女優はひどい
次の世代に平和の大事さが伝わっていくことを示す重要な役の筈なのに、演技力も存在感もなく
全てぶち壊しにしている
これが東映の50周年記念作品なのだ
情けないかぎりだ
東宝創立50周年は市川崑監督の細雪だ
この違いを思うと本当に酷い、醜い
高倉健の日本アカデミー主演男優賞ノミネートの辞退は後進に道を譲りたいというが、含むところがあったのではないのか?
木村大作の素晴らしい撮影に星一つオマケする
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