「日本人だけじゃないところがいい」ホタル kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人だけじゃないところがいい
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前半は山岡のおかげで特攻機を引き返し生還した藤枝との物語。井川比佐志の手紙の内容が悲しい。生き残った者の辛さがここでも感じられる。生きる目的を失ったしまった後でも、毎年山岡にリンゴを送って、その礼を受け取るときに生きがいを感じたという。
朝鮮人であることを知りながら金山少尉を愛していた友子。大日本帝国のために死にに行くのではない!朝鮮民族の誇りのため、友子のため死にに行く・・・その友子(田中)と長年連れ添ってきた山岡(高倉)。富屋食堂の山本富子(奈良岡)さんが預かっていた遺品(祭りのお面)を遺族に届けるため、夫婦は釜山に向かう。
韓国で遺族に会ったとき、山岡夫妻は家族たちに罵倒される。韓国の母親は息子の手紙を受け取っていて、彼らの申し出を受け入れてくれた。墓参りをする二人。冬だというのにホタルが1匹。金山の生まれ変わり・・・最後に韓国に来れてよかったと思える静かなシーンが印象的。
山岡友子は14年前から腎臓を患っており、人工透析が欠かせないつらい日々。人生の終焉も近い夫婦の旅路といった映画。地味な映画ではあるけど、昭和天皇の崩御を機会に特攻隊を忘れてはならない思い。反戦の祈りも感じ、韓国の反日感情もわかりやすく描かれていた。
たった一つの命を捧げること。生き残った者が伝えたいこと。命の尊さをホタルに託し、残された者たちに平和でいてほしいという静かな願いが感じられる。
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