「歳を取って観たら最高だった…。」映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲 ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
歳を取って観たら最高だった…。
作画もきれい、世界観も素晴らしい、ストーリーも良い。こんな良い映画だったとは…!!
前回観た時はしんのすけ視点だったのに、アラサーになって改めて観たら完全にひろしやみさえ視点で観ている自分に気づく。
ひろしが大人の自分の足の匂いをかぎながら子どもの頃を思い出して涙するところにもう泣く。
「つまらない人生だ」、そうじゃない。
そうじゃないんだって今ならすごくうなずける。
あとひろしが懐かさの匂いのからくりを知っていてもなお、夕日町で「ここにいると懐かしさで頭がおかしくなりそうだ」と涙しながら言うシーンも泣けた。
わかっていても、家族との未来が大事でも逃れられない「ノスタルジー」という呪縛。何というかスタッフが本気で作ってるのを感じたシーンだった。
それから、みさえが高い鉄骨の上で、めちゃくちゃ怖くても、自分が落ちて死にそうでもひまわりを絶対に離さないところに泣けた。
みさえもひろしもちゃんと大人であり、言葉だけじゃなくちゃんと親であることがきちんと行動として描かれている。
前に観た時はみさえの必死さにコミカルさを感じて観ていた気がするけど、今観るとここでも泣けてしまうもんな…。
あとケンとチャコ。一応本作ではしんのすけや野原家の敵として据えられてはいるものの、なんて切なくて魅力的な2人だろうか。終盤この2人の穏やかで静かで物哀しそうな立ち姿を見るだけでなんだか泣けてきた。
幼い時にこの作品を観たときはこの2人が全然理解できなかったんだけど、今観たらこの2人に共感している自分もいて驚く。
ノスタルジーの世界を望みながら、ちゃんと新しい未来を望む気持ちも持っていた、そんな矛盾とアンバランスさがかなり上手く描かれている。
本作は野原一家の物語でありながらケンとチャコ2人の物語にもなっているという構図すごいな…。
音楽とか舞台背景とかの昭和感、ノスタルジーも素晴らしいながらストーリーが素晴らしいことに改めて感動してしまった。
かすかべ防衛隊の冒険として観てももちろん楽しい(みんなのバーごっこのシーンとかマサオくんのドライバーシーンとかかなり笑った)のもすごい。
これはすごい名作だ…!!