「実話そのままの脱獄方法」アルカトラズからの脱出 きーとろさんの映画レビュー(感想・評価)
実話そのままの脱獄方法
脱獄ものにはハズレがない。気がする。
名作が多いですね。大脱走は私が映画を好きになったきっかけの作品の一つです。
今作もなかなか楽しめました。
閉鎖後のアルカトラズ島で実際に撮影が行われたそうで、リアリティを感じます。
もちろんキャラクターなどに脚色もあるのでしょうが、脱獄の方法自体は実話そのままのようです。映画さながらってやつですね。凄いこと考えるなあ。
脱獄の準備で地味な作業をコツコツと積み重ねていくのですが、いい塩梅に緊迫感もあり、退屈しません。
あらゆるものを加工して脱獄に利用するのは見ていておもしろかったです。
作業場から加工した道具を持ち出す時のトリックには感心しました。
ひとつ言うとすれば、囚人の中でも悪い者たちが最終的に行き着く地であるアルカトラズ島だというのに、ウルフ以外の囚人がいい人すぎます。悪人に見えない。特にリトマスとか、もはやかわいい。癒される。
ですが、実際のフランクモリスもそんな悪そうには見えないんですよね。どんな厳つい男なのかと思って調べてみたら、案外シュッとしてて驚きました。どことなく映画のモリスと同様に知性とカリスマ性を備えていそう。
囚人達の交流もこの映画をよく盛り立てていると思います。ドクやイングリッシュですね。
ドクのあのシーンは強烈なインパクトがありました。恐ろしく、そして辛かったです。
イングリッシュとモリスの静かな絆の描写も凄く良かったです。黒人だの白人だの坊やだのと、はたから見ると憎まれ口を叩きあって見えるけれど、本人たちはそれを楽しんでいて。古い友人であるかのような関係がとても素敵でした。
彼らとの交流の描写がいいだけに、脱獄に加担する仲間の影が薄いのが少しもったいない気もします。
ラストの菊がいいですね。希望の花。