劇場公開日 2001年4月21日

青 chongのレビュー・感想・評価

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3.5学生映画でこの完成度はすごい

2020年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

『怒り』や『フラガール』の李相日監督の学生時代の作品であり、商業映画デビュー作でもある。学生映画が劇場公開まで行くだけでもすごいが、ナラティブな完成度の高さに驚く。監督自身のルーツでもある朝鮮高校の青春を描いた作品なのだが、マイノリティの悲哀にとどまらず、自分は何者であるのかという普遍的な自己形成の葛藤を描いている。「関係ねえよ、俺は俺だ」という最後の台詞は、シンプルだがここに至るまでの葛藤を丁寧に描いている。結局最後は自分が生きたいように生きるしかない、しかし、その結論を安易に出さずに悩み抜くプロセスこと大切だと本作は描いている。 作風は、本人も認めているが、北野武監督の作品の影響が色濃い。編集による時間の飛ばし方や省略話法、ブルートーンの映像、独特の切り返しのタイミングなど、『キッズ・リターン』を思わせる画がいくつか出てくる。 しかし、監督自身の脚本を織りなす物語は間違いなくオリジナリティにあふれている。主演が有名になる前の眞島秀和なのも感慨深い。

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杉本穂高

3.5【李相日監督って、大学時代からヤッパリ凄かったんだ!在日朝鮮人の高校生達の日常をクスクス笑える描写多数で描いた作品。】

2024年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

知的

幸せ

ー 在日朝鮮人高校生たちの日常を描いた作品となると、どうしても「パッチギ!」を思い出すが、今作でも在日朝鮮人の高校生達の日常や、恋や、朝鮮人としての誇りと言うテーマを、決して重くならずに描いている点が、若き、李相日監督の映画センスを感じるなあ。- ■在日朝鮮人学校に通うテソン(スンゴイ若い眞島秀和さん。ビックリ!)は、朝鮮人として誇り高く生きるよう教育を受けながら、在日朝鮮人高校で、野球部に入り平和な生活を送っていた。 ◆感想<Caution!内容に触れています。> ・今作で描かれるテーマはともすれば重くなりがちだが、それをコミカルに描いている。  1. 姉が日本人であるスズキサンと婚約したことで、スズキサンを家に連れて来るが、父は無視、母は敢えてすんごく辛そうなスープを飲ませる。スズキサンは頑張ってスープを飲むが咽る。序でに父も咽る。可笑しい。  2.高野連に高校野球地方予選出場を認められるが、日本人学校と練習試合をして、ぼろ負けする一連の流れ。    そして、ピッチャーであったテソンは、一度は野球部を辞めるが、幼馴染のユンナミが日本人と付き合っている事から苛められている事を知り、彼女と海岸で野球をして、再びマウンドに上がるのである。 <その他にも、男子朝鮮高校生が、チョゴリの匂いを更衣室で、コッソリ嗅いで居たり・・。あー、可笑しい。  今作は、在日朝鮮人高校生たちの日常を、さり気無く日本と朝鮮の軋轢を盛り込みながら、けれどもコミカル描いた作品である。  この作品の延長上に「フラガール」が、あったのかなあ。>

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