わかれ雲
劇場公開日:1951年11月23日
解説
製作は平尾郁次。脚本は「面影」以来の五所平之助に、「めし」の田中澄江「のど自慢三羽烏」の館岡謙之助が共同して書き、五所平之助久しぶりの監督である。撮影は五所監督となじみ深い三浦光雄(「宝塚夫人」)である。出演者は、澤村宗十郎の娘、沢村契恵子、「わが一高時代の犯罪」の沼田曜一、往年の松竹スター川崎弘子、文学座の三津田健と福田妙子それに中村是好、岡村文子、倉田文人の娘倉田マユミ、その他俳優座の若手女優など。
1951年製作/101分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1951年11月23日
ストーリー
信州の小さな町へ農村の風俗研究の旅で立ち寄った女子大学生のグループの一人の藤村眞砂子は、そこで突然発病してしまった。旅館山田館の女中おせんのはからいで、診療所の南医師の診察を受け、軽い肺炎だといわれた。眞砂子は一人静養のため山田館に残り、おせいの手厚い看病をうけ間もなく快方にむかった。間もなく東京から母の玉枝がむかえに来た。姉のように若く美しい母であったが、眞砂子は冷く母をさけて、一緒に帰ろうとはしなかった。淋しく帰る玉枝を駅へ送ったおせんは、彼女が眞砂子の義母であることを打明けられ、眞砂子のかたくなな心をときぼくしてやりたいと思うのだった。おせんは愛のない結婚だったが、その夫も、二人の間に出来た子供も失ってしまい世の苦しみを味いつくした女だった。眞砂子はそのおせんに心温いものを感じ、また山の町で献身的に働く南医師の真剣な生活態度を見たり、その医師やおせんと、更に山奥の無医村、長澤集落へ集団検診に同行、その村の文教場で、土地の古い因習と戦いながら幼い者の教育に努力している岡先生の姿を見て、眞砂子は自分一人の利己のなかにとじこもって、周囲の人々、殊に父や母の愛情を傷けていたことのあやまちを悟った。やがて出張の帰途、迎えに立ちよった父と共に、見ちがえるほど明るくなった眞砂子がおせんや南医師に送られて、山の町を立って行ったのだった。