WiLD ZEROのレビュー・感想・評価
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ジェット指令に命をかけろ‼︎ 火星バーのハイティーンをわかせる、伝説のトラッシュ&カオスムービー⚡️🎸🐺
ゾンビに支配されたとある街を舞台に、ロックンロールを愛する青年エースと、彼が憧れるバンド「ギターウルフ」の活躍が描かれるSFコメディ・ホラー。
Q:世界最高のロックンロールバンドとは何か?
「ザ・ビートルズ」?おととい来やがれ!
「ローリング・ストーンズ」?寝言は寝て言え!
「クイーン」?ヘソで茶が沸かぁ!
「AC/DC」?まぁ悪くないな…。
「モーターヘッド」?確かにそーかも…。
…いやいや!世界最高のロックンロールバンドは「ギターウルフ」を置いて外にはいない!!
1987年結成、1993年にメンフィスの「Goner Records」からデビューして以来、メンバーチェンジはありながらも30年以上に渡り世界中でジェットロックンロールを掻き鳴らし続けている正真正銘のレジェンドである。
革ジャン革パンサングラスという弩ストレートなファッション、情緒のカケラもない爆音、コミックバンドスレスレのユニークな歌詞、テクニックの拙さは気合いでカバー、観客参加型のカオスなライブなど、他のバンドの追随を許さない唯一無二にして最低最悪最強な存在であり、一度そのパフォーマンスを体験したら最後。彼らの虜にならない者は居ない。
ギターウルフの大ファンである事を公言しているテクノバンド「電気グルーヴ」の石野卓球曰く、「ギターウルフはウルトラマンや仮面ライダーと同じカテゴリー」。
ギターウルフ唯一のオリジナルメンバーでありバンドの魂である“Guitar Wolf“セイジは、真夏でも革ジャン、風呂でもサングラスを掛けるという気合いの漢。「セイジの革ジャンはヤツの皮膚」とは、同じくロックンロールの第一線を走り続けるレジェンド、甲本ヒロトの言である。
彼にとってロックンロールとは常態。日々そこにいる事が既にロックンロールであるという達人の域に到達しており、怪獣や怪人と戦う為には変身しなければならないウルトラマンや仮面ライダーを超越した、真のスーパーヒーローなのだ。
本作はそんな彼らの日常を捉えたドキュメンタリーである。ギターウルフくらいになるとピック手裏剣でゾンビを仕留め、ギブソンソードで超巨大UFOをぶった斬るくらい訳はないのである。いやマジで。
監督はギターウルフをはじめ、数々の名アーティストのMVを撮影してきた竹内鉄郎。彼の名は知らなくとも「スピッツ」の代表曲「ロビンソン」(1995)や「チェリー」(1996)のMVは誰もが一度は目にした事があるのではないだろうか。
ギターウルフを題材にした映画を撮りたい!と思い立った竹内監督は映画会社「ギャガ」に企画書(1枚の紙にただ「UFO ラブ ガール 爆発」と書いたもの)を提出。それを見た当時の社長が「これはいける!」と予算を出し、この映画の制作はスタートした。皆んなイカれてんのか!?
低予算の為、撮影はほぼ全編タイで行われている。撮影は何故かタイの警察と軍隊が全面的に協力してくれており、銃器類や終盤の大爆発は全て本物である。悪徳マネージャーがロケランをブッ放つあのアパートには普通に人が住んでいたのだとか…。
ちなみに、本作に登場するゾンビを演じているのはタイ陸軍の兵隊さんとその家族たち。なんとも心温まるエピソードだ😊
また、トビオを演じたシティシャイ・クワンチャイルはスタッフがたまたま現地のバーでナンパした大学生。当初は日本人アイドルの女性が起用されていたのだが、急遽その予定を変更。彼女がヒロインに抜擢された。唐突なアイドルシーンは、多分変更前の名残なのだと思われる。
…やっぱり皆んなイカれてんなっ!!
このトビオというキャラクターを急遽付け足した事により、「ボーダーレスな愛」という大きなテーマが作品の軸となった。ホモセクシャルな恋愛だけでなく、ゾンビ同士のキスという前代未聞なラブシーンまでもが描写されており、一説によると『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)の監督エドガー・ライトに影響を与えたのだとか。
「愛に国境も男も女も関係ねぇ!やっちまえーーー!!」というギターウルフのメッセージは公開から25年経った今でも全く錆びついておらず、この映画がただのB級コメディではない事を示す一つの指標となっているように思う。
セイジさん曰く、「この映画を観た人の感想は2つに1つ。ゼロか100」。
映画の出来としては確かにお粗末で、ストーリーに筋は通ってないし録音機材にまで予算が回せなかったせいかセリフが非常に聞き取りづらい。また、アフレコである事を隠そうともしていない為、芝居の違和感は半端ない。
一応看板や道路標識は日本語で書いてあるものの、その風景はどう見ても日本ではない(ただこれは、作品の持つ無国籍感と上手くマッチしている為一概に悪いとは言い切れない)し、ガソリンスタンドというロケーションを異常に使い回しまくっている点も「他にもっと場所ないのかよ!?」とツッコミたくなってしまう。
竹内監督は本作は『ロッキー・ホラー・ショー』(1975)の影響下にあると発言しており、セイジさんはギターウルフが『ロックンロール・ハイスクール』(1979)の「ラモーンズ」っぽくなるように脚本をお願いしたと言っている。
個人的には、このむせ返る様なB級感からは「ザ・クラッシュ」のジョー・ストラマーが出演しているトンデモ西部劇『ストレート・トゥ・ヘル』(1987)の遺伝子を感じたのだが、正直な所その出来栄えには天と地ほどの差があると言えるだろう。
クオリティとしては映画学校の卒業制作レベル。いや、もしかしたらそれ以下かもしれない。
ただ、技術と予算の不足を補うのに十分過ぎるほどの気合いとエネルギーが本作には注入されている。この「倒れるときは前のめり」的メソッドこそがギターウルフの精神性なのだ。
ギターウルフの映画なんだから、上手いけどこじんまりと収まってしまうくらいならこれくらいの雑さで爆死してくれた方が良い。バカバカしさ×100、時代を先取りしすぎてむしろ今これが最先端なんじゃないかと錯覚してしまうほどの珍作なのであります。
本作、実は海外の方が人気が高く、今なお世界中で上映会が催されている。かつてはただのB級映画として扱われてきたが、前述したようなLGBT的メッセージも相まって、今ではしっかりと評価もされる様になって来ているのだとか。
そんな海外からの声援を受け、なんと公開から25年経った今、『WILD ZERO Ⅱ』の制作が決定!!制作資金1億円を確保すべく、ギターウルフ以下製作陣は必死になって予算を掻き集めています。このプロジェクトを成功させるため、皆様のお力を貸していただきたい!誰か1億円ポンッと出資してくれ!!
※君は「ワイルド・ゼロ・ドリンキング・ゲーム」を知っているか!?これは世界中のバーで行われているという禁断の儀式である。
○用意するもの
・『WiLD ZERO』のDVD。
・ショットグラス。
・アルコール。
ルールは簡単。映画の中で
①誰かが髪を櫛で解かす
②ゾンビの頭が吹っ飛ぶ
③火が噴き出す
④「ロックンロール!!」と叫ぶ
シーンが出て来た時にショットグラスでアルコールを一気飲みする。最後まで立っていたヤツの勝利!
未だかつて、映画のラストまで立っていられた奴はいないと聞く。さぁ、君は生き延びる事が出来るか…?
※※ギターウルフは毎年、セイジさんの故郷である島根県松江市で「シマネジェットフェス」という野外フェスを開催しています。
このフェスには流行りのバンドや巷で人気のミュージシャンではなく、コイツは凄い!!とセイジさんを唸らせたロックンロールバンドが招集されます。なので出演者は有名無名を問わず凄まじい熱量を持ったアーティストばかり。会場は長閑な住宅地の中にある古墳公園で、そのミスマッチ感は異常。「ロック×古墳の力でUFOを呼び寄せる」というコンセプトの下行われている、ちょっとどうかしちゃっている奇祭なのです。
2025年度はなんと、『ベイビー・ドライバー』(2017)のサントラでもお馴染み、ジョン・スペンサーが電撃参戦する予定!今から楽しみ過ぎる⚡️⚡️
このフェスは有志によるクラウドファンディングで成り立っています。興味のある方は是非、チャリンチャリンとお金を振り込んであげて下さい。ロックンロール!🎸🎸
まぁこの時代の文化を知るなら。
今年342本目(合計1,434本目/今月(2024年9月度)28本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
シネマートさんのいわゆる爆音放送でいってきました。
一応、大声OK上映ではありませんでしたが、常識的な範囲内では拍手等もありました。
かなり古い時代で、古い時代の日本の音楽事情や音楽バンドの事情を知ることができるほか、バンド系音楽といわばホラー映画との融合ということで25年ほど前の作品ですが、今みても特段違和感がなく(もちろんインターネットなんて出ませんが、出ようがどうであろうが関係がない)良かった作品です。
VOD等で配信があるようなのであれこれ書かないほうが良いのかな…。
いわゆる爆音放送は「映画館でやる分」に関しては防音関係がしっかりしていますが、自宅等特段の設備があるのでないところで「セルフ爆音」すると警察が来たり近所迷惑になったりと大変なので注意です(まぁ、パソコンの音量設定にも限界ありますし)。
行政法の観点からは、移動の自由を一方的に制限することができるか?という問題(後半のくだり)があることは把握していますが、現在(2023~2024年)と違ってこの時代の映画はそのあたりの法律解釈が結構いい加減だったようで(通達だの避難命令だのといった語が特段監修なく使われている)、それはそれで仕方がない(特に行政法というマイナーな科目で1995年頃の作品に配慮を求めるのも、民法刑法等の理解不足という指摘とは一つ二つ要求が跳ね上がる)ため、減点なしフルスコアです。
ギターウルフ!ロック!ゾンビ!UFO!
ギターウルフが出演しているB級映画で、ジャンル的には、ロックなホラーコメディ?
ゾンビさまよう街を、バイクでカッ飛ばし、昔の不良漫画の様な甘酸っぱい恋をして…
パンク、ハードコア、ガレージ、サーフ、など
、アンダーグラウンドなロックが全編を彩ります。
マッド3、ティーンジェネレイト、SDS、デビル・ドッグス、ファントム・サーファーズ、オブリヴィアンズ、などなど、
とにかく!音楽がサイコーです!!
この辺の音楽が好きな方は興奮しながら観れるでしょう(笑)
『プラン9・フロム・アウタースペース』とか、B級映画が好きな方は楽しめるかと。
一般的には、くっだらない映画と認定されるであろうB級具合(笑)
ギターウルフのファンに!
アンダーグラウンドなロックファンに!
B級映画のファンに!
ロッケンロー!!
PS.アメリカのホラー映画『ファウンド』の劇中に、この映画のポスターが貼ってあります(笑)
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