浪人街(1990)のレビュー・感想・評価
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殺陣を見たいならやめた方がいい。
女たらしのヒモ、飲み屋の用心棒、不器用な据物斬、元武家の鳥屋の4人の浪人と、連続夜鷹斬り事件をめぐるストーリー。
でもサスペンスではなく、あくまで人間ドラマ。
原田芳雄や勝新太郎の殺陣を見たかった自分としては残念な内容。石橋蓮司の居合いは良かった。
また正直ストーリーがけっこう退屈。
4人の事件への関わり方が基本的に浅いし、ちゃんとした見せ場もラストだけ。っていうか惚れた女の危機に金を積まれなきゃ動かない薄情さにドン引き。
映画の内容とは関係ないが、黄猿と藤虎と緑牛の共演だーって内心盛り上がったし、お新役の樋口可南子がめっちゃ美人でいい女。それと石橋蓮司の越後訛りが凄く自然で良かった。
権力を傘に悪行を繰り返す一党に対し、反骨の浪人たちが立ち上がる。
浪人は食うためには何でもやって稼がねばならぬ。勝新太郎演ずる赤牛は殴られ屋みたいなことしてたし夜鷹に字も教えて。、石橋蓮司演ずる母衣は死体を斬る仕事をしてた(これは何?)。そして、ひもみたいな生活の原田芳雄と小鳥を預かっていた田中邦衛。士官したはいいが、帰参するために100両必要とのこと。そして4人の浪人たちが集まるのは決まって一膳飯屋のまる太。そこの夜鷹が次々と襲われたのだ。
タイトルに書いたような反骨精神があるとは思えず、唯一侍らしい浪人は石橋蓮司のみ。勝新太郎なんて、犯人である旗本たちに犬として取り入ったし・・・恋人のおしん(樋口)を助けるため立ち上がったようにも見えたが、飲んで足元さえもおぼつかない原田芳雄。やっぱりかっこいいのは石橋蓮司だけだった・・・
新潟出身の浪人役、石橋蓮司の居合術が光る
原田芳雄はひたすらヒモ。でも筋肉質で焼けた肌は確かにモテそう。
クライマックスのチャンバラは酔拳の剣術版。
勝新太郎と石橋蓮司の珍しいトリオの取り合わせに田中邦衛も参戦。
最後は甲冑着て騎馬武者として颯爽と登場するも総面で誰なのか分からず勿体無い。
ほとんど勝新太郎の見せ場だが、最後に死に装束で飛び込んでくる石橋蓮司の鬼気迫る居合斬りは圧巻。そのあとまた勝新においしいところさらわれてしまうけど。
最後の多人数チャンバラ以外は、幕末の太平の世に侍になれない浪人の悲哀をだらっと描いていて濡れ場もそんなにハードなのはない。脱ぐのは伊佐山ひろ子だけ。
樋口可南子が可愛らしい。
杉田かおるもここではまだかわいいほう。
悪いお侍さんに中尾彬、悪い庄屋に佐藤慶と安定のキャスティング。
天本英世が琵琶法師役でちょっと出てくる。
明るく見やすい時代劇。
こんなチャンバラ見てられない。
すでに鬼籍に入った人もいるが、製作当時の個性派ぞろいの出演者たちである。それぞれが主演、もしくは重要な脇役を張る作品ではとても魅力的なのに、この作品では誰もひきたっていない。
あえて言えば樋口可南子が可愛いのだが、これだって、この程度の可愛らしさなら他の作品でも彼女は発揮している。
最も滑っているのは勝新太郎。誰か気に入らない奴でも撮影現場にいたのか、全く他の役者とリズムが合わない。合わせていない。
また、原田芳雄のふらふらの殺陣は見てはいられない。あんなにくねくねのふらふらで人を斬れるわけがなかろう。ジャッキー・チェンの酔拳だって、相手に打撃を与える瞬間はしっかりと立っているのに。
こんなの作っていたからチャンバラ映画から客が離れて、ついぞ作られなくなったんだと思う。
何度も映画化された脚本らしいから、多くの人が面白いと思う筋書きなのだろう。これを面白くできなかったスタッフ・キャストの無念が偲ばれる。
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