「老人介護は真心を持って。」老人Z 753さんの映画レビュー(感想・評価)
老人介護は真心を持って。
AKIRAを作った3年後、大友克洋が手掛けた老人介護がテーマのヒューマンSF。
面白い話を考えるなあ。
いわばこれは、シニカルでユーモラスな老人解放運動。
寝たきり老人の最後の夢を叶えるためにボランティア介護を担当していた晴子は、厚労省や国家軍事機密までも巻き込んで鎌倉の海を目指す。
「厚生省を舐めるなよぉ!」と言った寺田にも、
「海へ行くのよぉ!」と言った晴子にも、
あるのは今の世の中には珍しくなった純粋な善。
大友作品特有の“流動的な固体”とでもいうべき作画は健在。これが有機的なロボットの挙動と実にマッチする。
そして細かい書き込みとラフな書き込みの両立がする独特の風合い。
そしてそしてなんと言ってもキャラクターデザインはあの江口寿史。
これ、ほんとに30年前の作品?笑
思い“入れ”のある場所や物を、
鮮明に思い“出す”ことができて初めて、
思い“残し”はなくなるのかもしれない。
だとしたら、老人を大切にするというのは、悔いなく天に送ってやることなのかも。
コメントする