「映像はよかった」連合艦隊 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
映像はよかった
1940年(昭和15年)、連合艦隊司令長官・山本五十六(小林)の反対にもかかわらず、海軍大臣・及川古志郎の「やむを得ない」という一言により日独伊三国軍事同盟が締結された。
帝国海軍の取った道のりをドキュメント映像を散りばめながら進めていく手法で、どことなく単に史実に沿っていっただけの戦争ドキュメンタリーといったイメージ。さらに、架空の人物たち、本郷家と小田切家を中心として戦争に参加する様子を描いているのだが、これがまた中途半端。どちらも志願して海軍、特攻隊へと入った息子たち。赤紙を受けた小田切武市(財津一郎)ですら、元々海軍曹長で戦艦の整備担当であるほど軍人家庭の姿なのだ。したがって、“市井の人々を描いた”とする監督と脚本家・須崎勝彌が元々旧海軍の出身ということもあり、一般市民の目で見られてないことが市民感覚の無さを露呈しているのだ。
悲惨な死体の山をも描いているが、実際に殺されるといった胸を痛ませるシーンは皆無。痛みが伝わってこないだけでなく、やはり美しく散っていく海軍を描いているイメージが残る。大和を「やむを得ず」出撃させる及川大臣への批判も見受けられるが、結局は勝つための戦争ではなく、国のため、天皇のために体裁を保とうとすることを潔しとしただけ。出撃前夜に本郷真二(金田)の横で寝ていた兵士が泣きじゃくっていたことが唯一死ぬことの恐怖を描いていただろうか。
その真二の兄(永島)が死んだことにより、結婚したばかりの陽子(古手川祐子)を妻にもらうといった悲恋も描いているが、その古手川の表情が全くだめ。男の身勝手な態度に翻弄されるといったことを言いたいんだろうけど、これが映画の中で浮いてしまっている・・・そんなことより戦争に対する憤りってもんはないんかい!!といった脚本だ。
映像はミニチュアの戦艦。9000万円かけたというからその特撮技術は凄い!まぁ、模型を作りたくなる映画だわな。