陸軍中野学校 雲一号指令のレビュー・感想・評価
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スパイとして生きるということは。
学校を卒業し、スパイとしてより実践的な活躍が描かれている。敵もまた実力のあるスパイであり、描写に一切軽さがない為常に緊迫した雰囲気の中物語を楽しめる。
また、スパイとして主人公も敵も覚悟や信念があるということをそれぞれハッキリと描写していて勇ましい。
不満点は、部隊長の右腕的な存在の、主人公に嫌味な人物が敵のカモにされているのだが、これが1作目と全く同じ構図であるということ。それが分かり責任を感じたその隊員が敵スパイの腹をピストルで撃って、そのままこめかみに銃口を当て自殺するのだが、血が全く出ていなかったこと。(表現規制?)
今作でのテーマはスパイは非情であるということ
陸軍中野学校シリーズ第二作
前作でスパイとなった椎名がいよいよ中国大陸の魑魅魍魎の世界で対外諜報活動に赴任しようという所から始まるのだが、結局呼び戻されて国内のスパイ狩りに投入されるお話
舞台は神戸
防諜捜査のストーリーなので、プロフェッショナルなスパイの技術のシーンもあるものの必然的に刑事物的なお話になっている
1940年7月に実際にあった英国のスパイだったコックス事件をモチーフにしているようだ
象徴的な飛び降り自殺のシーンがある
今作でのテーマはスパイは非情であるということ
敵側のスパイが自らの信念を貫くなら、椎名もまた危篤の母親を顧みもしないのだ
クライマックスの女スパイとの対決で、彼女は毅然と顔を上げ真正面をむいて、こういうのだ
私が売国奴?
もし私が日本人ならそうなるでしょう
でも私は日本人ではありません
私は祖国に殉じる愛国者なのです
(中略)
信念のない人間はいつも愚かなものに決まっています
自由と平和を守る信念のない人間は
このシーンは圧巻だ
泣き伏せる女性がつぎに顔を上げた時には、戦士の顔つきになっているのだ
この後半の台詞は21世紀の私達にも突き刺さるものだ
このような信念の対決に私達は非情を貫いて勝てるのであろうか?
負けるというのなら、日本の自由と平和は奪われてしまうしかないのだ
本作の敵の女スパイが日本人と入れ替わった方法は、北朝鮮のスパイが昔から使う背乗りと呼ばれる実際の手口を使っている
恐ろしくクールだ
どんなハードボイルドな映画でも派手なアクションとやせ我慢だけだ
ここまで本当の意味でクールな日本映画はそうない
森一生監督の演出も的確で、脚本もよく面白い
ラストシーンの陸軍参謀本部内部のシーンが素晴らしく格好いい!
参謀本部第二部は対外情報を扱う部局
ロシア、欧米、支那、謀略の四つの課がある
さてどこの課に呼ばれたのだろうか?
次回作が楽しみだ!
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