襤褸の旗のレビュー・感想・評価
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時代も人もよく描いている
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(30年程前にテレビ放送していたものをVHS録画したものをふと思い立って観返した)
白黒映像でつくられていて、昔風な感じをよく出しています。演じるのは皆名優ばかり、主演の田中正造役の三国廉太郎は眼光鋭い、迫力あります。
明治の世、ちょうど日露戦争の頃で国全体が世界に向けて発展を志向し、そのためには国民生活を犠牲にしてでも、という時代。足尾銅山の鉱毒問題が起き、正造らは操業停止の論陣を展開。政府は鉱毒対策として下流の谷中村を廃村にする。強引なやり方に憤り、反対運動をする正造と村民たち。魚が浮き上がる死の川、田畑では農作物が枯れていく。そして最後、反対農家が次ぎ次ぎに引き倒されるシーンは本物の家屋でもって撮影しています。真黒い土埃りをあげてズンと壊れる様はCGなんかじゃない迫力です。
政府に抗議する人々にもいろいろな主義・立場があり、必ずしも一致したものではない。正造ら、社会主義者、キリスト教関係者それぞれの考えの違い・人間模様もよく描かれています。また、強制執行にきた官憲。この種のドラマによくある単純ゴーマン人間ではなく、礼節は保っています。正造の抗議の論を、認めはしませんがちゃんと答えます。こういう描写はよいと思いました。
また、最初の頃の正造は黒々とした髪の壮年だったのが、おわりの頃は白髪だらけの老いぼれた感じになるのはメイクと演技の両方で秀逸。
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