落下する夕方
劇場公開日:1998年11月7日
解説
恋人との別れ、先輩の事故…、辛い現実と向き合うことの出来ない女性が、ひとりの女性との出会いと死別の中で再生していく姿を捉えたドラマ。監督は「MISTY」(三枝健起監督作)で製作を務めた合津直枝で、これが監督デビュー作。脚本は江國香織の同名小説を基に、合津監督自身が脚色。撮影を「D坂の殺人事件」の中堀正夫が担当している。主演は「時をかける少女」(角川春樹監督作)の原田知世と「JOKER/疫病神」の渡部篤郎、「エコエコアザラク」の菅野美穂。第48回ベルリン国際映画祭パノラマ部門、第22回香港国際映画祭、第33回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭コンペティション部門、第22回モントリオール国際映画祭今日の映画部門、第3回釜山国際映画祭アジアの女性監督特集部門、第34回シカゴ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。
1998年製作/106分/日本
配給:松竹(配給協力*テレビマンユニオン)
劇場公開日:1998年11月7日
ストーリー
ある日、リカは4年間一緒に暮らしていた健吾に別れを告げられた。彼は、不思議な魅力を持つ根津華子という女性に心を奪われたのだと言う。あまりに突然なことに戸惑うリカ。健吾の先輩・柴田のパラグライダー事故に加担してしまったのではないかという気がかりを除いては、何もかも順調だと思っていたのに……。それから暫くして健吾はマンションを出ていったが、いつまでも別れを受け入れられないリカは、いつか健吾が戻ることを信じ部屋に留まることにする。しかし、2LDKの部屋はひとり暮らしには広いばかりか、今の給料では家賃を捻出するのは大変だった。そんな矢先、華子がリカの部屋にやって来た。「3人にとって完璧な解決策だと思うけど」そう言ってルームメイトを決め込む華子。理解不可能な行動を示す華子に、しかしリカは追い出すことを心のどこかで躊躇った。華子がいれば、健吾がこの部屋に顔を出すからだ。こうして、リカと華子の奇妙な共同生活が始まった。一日中寝ているかと思えば、ふらりと出ていったきり何日も帰ってこない華子。リカは感情のままに振る舞う華子を羨ましく思いながら、その一方で彼女に振り回され疲れ切っていく健吾を心配に思っていた。そんな健吾を見かねた彼女は、彼をベッドに押し倒してしまう。しかしそれは、ふたりの隙間を埋めることにはならなかった。ある日、華子がリカを湘南に誘った。華子が幼い頃に暮らしたという家を訪れるふたり。そこでリカは、華子が幼い頃、弟を半身麻痺の体にしてしまった辛い過去の話を聞く。一足先に東京へ戻ったリカ。夜、彼女は健吾を誘って3人でスキヤキをしようと華子の帰りを待つ。しかし、華子は二度と戻っては来なかったのである…。華子の葬式を済ませたリカは、健吾と華子の父親・中島の3人で生前の彼女の想い出に浸った。そうして初めて華子の死と向き合うことの出来たリカは、その後、それまで訪れることを躊躇っていた柴田の家を見舞い、更に健吾との部屋から引っ越すことも決意するのだった。