ラヂオの時間のレビュー・感想・評価
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舞台で観たかった!
身勝手起因の小さな脚本変更が
大混乱をもたらすとの、
きっと他の分野でもさもありなんの
風刺の効いた込み入った脚本を、
三谷幸喜は見事に作り上げたものだなぁと
感心して観た。
しかし、舞台の映画化は難しい。
笑いの要素が満載の展開で、
上手い!と思いながらも
何故かストレートに笑えない自分がいた。
舞台の映画化の成功例として、
海外では
ウィリアム・ワイラー監督の「探偵物語」
をはじめ、「欲望という名の電車」
「フロント・ページ」等々、
また邦画としても
「蒲田行進曲」「父と暮せば」等を
思い出す。
舞台劇やその脚本の映画化の成功には
幾つかの一工夫が必要で、
そのひとつに、舞台では表現し得ない
メイン会場以外の場面をどう効果的に
描写挿入出来たかも大切な要素と思う。
上記の幾つかの作品と比較すると、
この作品でも工夫こそされているものの、
渡辺謙の役割の場面でも空回りの感があって
成功しているとは言い難い。
また、
舞台はデフォルメ的表現の世界、
映画はリアリティ重視の表現芸術で、
必然的に観るスタンスが異なる。
特にコメディとしては、
舞台では誇張を臨場感の中で笑えるが、
映画化ではそうはいかない世界でもあり、
成功例が多いイメージは無い。
そういった意味では
もちろん他の三谷作品もそうだが、
映像化には工夫不足と言わざるを得ない。
この作品も舞台劇として鑑賞すべき作品で、
きっと抱腹絶倒だったんだろうな
と想像はした。
バタフライ効果
外国の映画祭でも笑いの渦が絶えなかったというシニカルなシチュエーション・コメディの傑作。
三谷さん自身がフジテレビの「水曜劇場」の脚本をズタズタにされ、挙句、最終回で主演の織田裕二から「こんな悪い奴が生き残るのは耐えられないから殺してくれ」と台本の変更を迫られたという実体験にインスパイアされて作った話ですね。余程、局の人間への恨み辛みも溜まっていたのでしょう、編成部長からプロデューサー、いかにも居そうといういい加減さのステレオタイプ、実に真に迫って可笑しい。千本のっこの我がままから端を発しバタフライ効果のように大嵐に発展する破綻と笑いのカオス状態。何故メアリージェーンなのか、井上順さんがオン・マイ・マインドと駄洒落を言うためだけでしょう。
軟弱、わがままな連中のオンパレードなのだが上司に逆らっても放送マンとしての矜持を貫こうとするディレクター、何でもござれの老効果マン、くすりともしないアナウンサー、馬鹿なのか天才なのか理解不能の便利屋の放送作家など登場人物のバラェテイの広さには圧倒されっぱなし、お掃除おばさんに宮本信子や桃井かおりのパーソナリティ、トラック運転手の渡辺謙さんとチョイ役に不似合いな豪華出演陣、謙さんには気を使ったのでしょうか凄いベンツのトレーラーでした。
常識とのギャップもまた笑いの本質、ただ、終わりの始まりとか始まりの終わりとか名言ぽいが意味不明のセリフ、いったい何を考えているのか三谷さんの頭の中を覗いてみたくなる快作でした。公開当時、家族で観て大笑い、BSでやっていたので再鑑賞。
働く大人は熱いんだ!
完全に「ありえない」んだけど
冒頭の長回しにやられた長回し教徒見習い
唐沢寿明の男気に少し感動
美味しいところは渡辺謙が・・・
「上を見上げた」が重複なので「見た」に変えろと言う。主人公律子という名前も役者千本のっこのダンナの不倫がどうのこうので変えさせられる。その名もなんと“メアリー・ジェーン”。パチンコ屋の店員なんか嫌だ。女弁護士でいくわ!
熱海の設定がアメリカに変わり、ハインリッヒ、ドナルド・マクドナルドなどと名前が変更され、役者のわがままによりどんどん設定が変化していく様子。そして警備員の藤村俊二が元効果音担当だということで、マシンガン、ダムの決壊、宇宙ロケット、花火と機転を利かせるところが面白い。ラジオでも今じゃ考えられない生収録という昔ながらの設定そのものも強引かと思う。
影の立役者はバッキーことモロ師岡。短時間で台本を修正する凄さは並大抵の人間にはできない。最後に名前を読まれなかったが、逆に近藤芳正がジョージとして目立ってしまい、微笑ましかったです。
30年ほど前、中学英語教科書みたいな内容を直訳して最後まで押し通していたラジオドラマがあったのですが、最後はすごく感動したのでもう一度聴いてみたいのですが・・・知ってる人、いませんよね?
豪華過ぎる
何度観ても最高。
そのアイデアに感服です。
深夜生放送するラジオドラマを巡って、一人の女優の我儘から派生するドタバタを描くコメディ。
鬼才三谷幸喜の長編映画初監督作品です。
初めて鑑賞した際には、その展開にぶっ飛びました。一人の女優の我儘から脚本が変わり、他の出演者の反発、製作や原作の拘り等が連鎖的にトラブルが起きます。その展開は私の想像を遥かに超えたもので、心地よい驚きの連続でした。
テンポも良く、演劇出身の監督らしい少し大げさな演技が、映画全体の面白さを高めています。
TV鑑賞が多いこともありコメディ映画は苦手なのですが、この映画はTV前で笑わせて頂きました。
サクッと楽しめる喜劇!
最近の三谷作品のような胸やけしそうなクドい演出でなく、とてもスッキリしたシンプルな演出であったのでとても見やすかった。シンプルとはいえ、ストーリーは、生放送中にトラブルが発生して、それになんとか手当てしていく、そうすると次のトラブルが、、とドタバタ感が楽しい。そのトラブルも「言われてみれば、確かにな!」って思えるようなものばかりで、見ているこっちまで頭抱えそうになりました。特に「シカゴに海はない」の展開。直前のセリフ、ナレーションがことごとく裏目に。キャストの方々と一緒に、天を見上げそうになりました。
キャストの方々もなかなかいい仕事。唐沢寿明さんは、イチイチカッコいいですね(笑) 戸田恵子さんは声優業も生業にしているだけあって、声を当ててるときの演技力がスゴい。渡辺謙さん、松本幸四郎さん(当時の市川染五郎さん)がちょい役で出てたのは驚きました。
ただ、実際にこのラジオドラマ聞いたら、面白くないだろうなー(笑)
皮肉なのは、作品内で、制作側の都合でドラマが改変(改悪)され、むちゃくちゃになっていくことを批判的に描写しているけど、このしばらく後、フジテレビは制作側の都合で番組を作り続け、視聴者の信頼を失った。この作品における思いや教訓を忘れてしまったんでしょうかね。
「死ぬ前に見る映画を1つ選べ」と言われたらこれを選ぶかもしれないくらい楽しい映画。
ネタバレになるので書かないけど、この映画は
ラストの千本ノッコの「〇〇〇〇〇〇〇」という、たった7文字のセリフに全て集約されてると思う。
プロとしてのプライドと、死んでも〇〇なんてしてやるか!という意地の両方をうまく組み合わせたセリフ。
いつの間にかみんなが期待していた結末。
でもその結末を決めるのは、その結末を期待していない彼女。
だけど「自分はこれをやって生きている」というプライドもある。
彼女は何て言うのか?
皆が見ている中、彼女が言った7文字のセリフ。
これぞ「大人の世界の大団円」という感じ。
大団円というと皆が幸せになるというイメージがあるけど、このラヂオの時間のラストのストーリーの展開は、少なくとも彼女が望んだものではない。
だからこのラストを迎えて、彼女はどちらかというとあんまり幸せじゃないのかもしれない。
でも、それでも、それが彼女の為になって、きっと彼女の中で何かが変わるという心地よい余韻みたいなものがある。
大人になったら色々我慢しなきゃいけない事があるよね、仕事の為には、あんまり良くない事もしなきゃいけない時もあるよね。小さい仕事なんだから、適当にこなせばいいじゃん。
疲れてるんだよ。
大人ってそういうもんだからさ。
って、そんな訳あるかーーーーーい!!!
ハッピーエンドを望んで何が悪いんじゃ!!
作品に愛を持って生きていこうじゃないかぁ!!
と、最後の最後にぶちかましてくれる作品。
私の感想は映画を見ていない人にはちんぷんかんぷんだけど、見た人には絶対に分かると思う。
ので、ぜひ見てください!
面白くなかった
誰もが欠かせない役者
三谷幸喜映画監督デビュー作
これぞ"喜劇"!
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