「舞台で観たかった!」ラヂオの時間 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
舞台で観たかった!
身勝手起因の小さな脚本変更が
大混乱をもたらすとの、
きっと他の分野でもさもありなんの
風刺の効いた込み入った脚本を、
三谷幸喜は見事に作り上げたものだなぁと
感心して観た。
しかし、舞台の映画化は難しい。
笑いの要素が満載の展開で、
上手い!と思いながらも
何故かストレートに笑えない自分がいた。
舞台の映画化の成功例として、
海外では
ウィリアム・ワイラー監督の「探偵物語」
をはじめ、「欲望という名の電車」
「フロント・ページ」等々、
また邦画としても
「蒲田行進曲」「父と暮せば」等を
思い出す。
舞台劇やその脚本の映画化の成功には
幾つかの一工夫が必要で、
そのひとつに、舞台では表現し得ない
メイン会場以外の場面をどう効果的に
描写挿入出来たかも大切な要素と思う。
上記の幾つかの作品と比較すると、
この作品でも工夫こそされているものの、
渡辺謙の役割の場面でも空回りの感があって
成功しているとは言い難い。
また、
舞台はデフォルメ的表現の世界、
映画はリアリティ重視の表現芸術で、
必然的に観るスタンスが異なる。
特にコメディとしては、
舞台では誇張を臨場感の中で笑えるが、
映画化ではそうはいかない世界でもあり、
成功例が多いイメージは無い。
そういった意味では
もちろん他の三谷作品もそうだが、
映像化には工夫不足と言わざるを得ない。
この作品も舞台劇として鑑賞すべき作品で、
きっと抱腹絶倒だったんだろうな
と想像はした。
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