劇場公開日 1958年4月15日

夜の鼓のレビュー・感想・評価

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健全は死の上に成り立つ

2024年1月3日
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古さがないのは、テーマが普遍的だからであろう。
嫉妬。不倫。復讐。人の噂。
現代からすれば、そんなことで人は死なないとあかんのか、と思いもするが、昨今のヤフコメによる吊し上げや袋叩きを見るにつれ、肉体的死刑と精神的死刑の差でしかないのではないかと思う。
不倫をした女が自害。それだけ聞けば「古臭い」と思うかもしれないが、古代ユダヤでは不倫は石打の刑で女は処罰されていた。同じ様子は「その男ゾルバ」でも描かれていた。
健全な社会のために、どれだけ多くの人が殺され、自害していったのか。
健全は殺人の上に成り立っている。

脚本の妙で、少しずつ事実が明らかになっていくさまはドラマティックである。
うんうん、辛かったんだね、と許したくなるところだが、この時代の人は許さない。
偏狭というか頑固というか。
ルールや決まりがあるってしんどい。そしてそのルールや決まりを作ったのも人間なのだ。

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багтазар