吉原炎上のレビュー・感想・評価
全32件中、21~32件目を表示
モンド映画として観るか
明治時代の吉原遊郭が舞台。
セットや衣装はよくまぁここまで金を掛けれたなと思うほど豪華&リアル。
明治って事もあって役人は訛りが強い如何にもな田舎者が多かったり救世軍(プロテスタント系の宗教組織で廃娼運動を行っていた)の描写があったり、その他諸々の風俗描写もなかなかに細かい。
娼妓達の生活に踏み込んだモンド映画と観るのがある意味正解なのかもしれない大作だ。
他はというと、結構エグめの演出(西川峰子のシーンとかもう、、)が多かったり名取裕子も美人なんだが他に比べると「んー、、、、」な感じの存在感だったり、根津甚八のあの感じだったりで「昭和演劇感」がドクドク脈打った感じで好みが分かれるかも。
自分はコテコテの演出も嫌いじゃないが、この作品は過剰に地獄感を出し過ぎな気がしていたりする。
現代日本映画では色々な意味で絶対に撮られないタイプの映画だが、だからこそ良さがあるとも言え、好きな部類の映画です。
昭和の名作
子供の頃にテレビでやっているのは記憶にありますが、いまいち理解出来ず(そりゃそうだ)
大人になった今なら理解出来るだろうという事で見てみましたが、普通に理解出来ましたね。
なんと言っても見せ場はクライマックスの炎上シーン。最後の数分しかありません。しかも鎮火せず終わる。
このシーンだけは子供の頃の記憶に焼き付いています。それだけ衝撃的なシーンです。
内容はそこに至るまでの数年間の花魁やその周辺の人達の人間ドラマです。
一見、華やかそうに見える花魁の光と影(闇)を表現し、それに関わる金と欲望。生々しくドロドロした印象で、綺麗事だけではない人間臭さがあります。役者さんの演技力も素晴らしいです。
タイトルを知らずに映画を見る人はほとんどいないと思いますが、最終的にこの華やかさも大火によって消失してしまうと考えると、切なくも感じます。
遊郭に生きる花たち
テンポよくサクサク観れる
さすが五社監督、制作費用がかかってるな〜〜って感じでした。 何と言...
花魁の苦しみと怒りを描く
綺麗に生きるのは難しい場所で、まさに命をかけて懸命に生きなければならない人たちの物語。
明治期の遊郭は江戸期に比べて縮小傾向にあったようで、花魁道中もだいぶ久しぶりに行うという話があったように、最盛期はとっくに過ぎてたりもします。
遊郭で人気もあればまだしも、落ち目の場所で、なんでこんな辛い思いをしなければならないのか、女性たちの不満は爆発寸前でした。
主人公はその不満を花魁道中を実施することで果たすのだが、他の女性たちは命を落としてしまう結果となる。ほとんど悲劇でしかない。そんな場所ですら、花を咲かせようとする主人公の生き様は女として人間としての矜持や意地を感じた。
結果として、吉原炎上という形で、全ての遊女たちの怒りと不満の爆発を見るのである。しかし、あれは単なる火事というだけではない、感情を思い起こさせる。
主人公が燃える吉原を見て、微かに笑っているのは恐らく、苦しみの世界の消滅に対する愉悦を、感じているからでしょう。吉原炎上の言葉で、外しているのです。
遊郭は苦界とも言えるまさに女性の地獄。
まさに見るべき作品。
時間の無駄
観月ありさ主演のドラマ版が良かったので、映画も少し期待して観たのですが、はっきりと言って時間の無駄でした。
ドラマでは、主人公の久乃の芯が強いところやひたむきなところを観月ありさが好演していたので、楼の中で御職を張るまでの売れっ子になり、最後には自分の幸せを手に入れることができたのも、説得力がありました。
それに比べ、映画の久乃は自分の芯が一本通っていないぐずぐずしている感じに観ていてすごくイライラしてしまいました。映画の前半はなよなよ、後半は自分が花魁道中をしたいからと若さんを振ったくせに未練たらたらで、若さんにお礼だけでも言いたいと若さんの元に行こうとするのですが、若さんは新しい女をつくっているんだから、今さらおまえなんかお呼びでないんだよと思ってしまいました。
とにかく久乃の性格が好きになれませんでした。すごくイライラしました
久乃と九重の絡みのシーンはさすが女優さん、すごい迫力で鮮烈な印象を残しましたが、観終わったあとに印象に残っているのはそのシーンぐらいです。
最後に久乃が馴染みの旦那に身請けされることになるのですが、身請けされて吉原の門を出て歩いている所に、吉原が火事になって炎に包まれているのが久乃の目に飛び込んできます。久乃は吉原に戻ろうと走り出してしまいます。そこで旦那も久乃を止めずに、おまえが行きたいなら行けみたいな顔をして止めないのですが、えっ!止めないの?いや、止めようよ!!身請けまでしといてなにあっさり引き下がってるんだよ。と激しくツッコミを入れてしまいました。
始めから終わりまで物語の中に引き込まれることなく終わってしまい、退屈でした。遊女たちの苦悩を描いているはずなのに薄っぺらな感じがしました。
観るだけ時間の無駄だと思います。
とにかく演技がすごい
一昔前の映画は苦手なのですが、そんなことを感じず楽しく鑑賞出来ました。
ただ、今の俳優と違って、みんな同じ顔に見えて誰が誰だか分かりませんでした。この時代の美人のカテゴリーはひとつだったのかなと感じました。
この映画の目玉は何と言っても体当たり演技です。迫力、思い切りがよくて、狂気もおぞましいほど感じました。
今の映画とは比較になりません。演技でかなりの高得点です。
主人公が恋する若さん、よく分からない謎の男でした。この男がいくら誠実だといっても、所詮吉原に来る男、いい人ではないことは百も承知。
でも、もしかしたら…なんて希望を持って迎えたラスト、まだまだ自分は青いなと思いました。
それでも腑に落ちなくて、他の方のレビューを読んで、やっと納得出来て、少しでも希望を持った自分のバカさに笑ったり。
吉原の疑似体験も出来て、いい映画でした。
吉原に生きる女のそれぞれの生き様
総合:80点
ストーリー: 80
キャスト: 80
演出: 70
ビジュアル: 80
音楽: 65
わざとらしい笑い方や大袈裟な台詞回しなどが三文芝居の舞台劇みたいでちょっと白ける部分もある。他の作品を見てもこれが五社監督のやり方なんだろうが、もうちょっと普通に演技できないのと見ていて感じる。
でもそれぞれの女の背負った不幸や、嫉妬・妄想・希望・辛さといった様々な感情の渦巻く日々の生活の描き方がなかなか見事。どうにもならないがんじがらめの状況の中でも、なんとか自分なりの幸せや自分なりの目的を追いかけようとする彼女らの生き様、あるいは場合によっては死に様がよく描写されていた。それは一時のきらめきであり空しさであり虚飾であり、しかし彼女らにとって現実に存在する日々である。衣装や舞台背景も良く作りこんでいたと思う。
2時間サスペンスの常連ばかり揃ってます!
今となっては実現不可能な、豪華俳優が勢ぞろい。
主役の名取裕子を始め、かたせ梨乃、西川峰子といった女優陣が、体を張った迫力の演技は圧巻です。
これだけでも観る価値はあります。
特に、西川峰子演じる小花の衝撃シーン…鳥肌ものです。
女の怖さや弱さだったり
田舎娘が花魁に成り上がっていく強さが見事に表現されています。
効果的に使われるBGM?が更に場面を盛り上げます。
「いかにも」な、昭和の映画らしい演出です。
女性は、登場する5人の花魁を、自分に重ねて見てしまうのではないでしょうか。
私は、かたせ梨乃演じる菊川みたいな友達が欲しいです。
全32件中、21~32件目を表示