夜霧よ今夜も有難うのレビュー・感想・評価
全10件を表示
裕次郎が、歌とアクションで大活躍
1.はじめに
①名古屋市文化振興事業団では「くらしに文化と感動を!」をスローガンに、芸術創造センターをはじめとする市内23の文化施設等を管理し、音楽、演劇、映画、舞踏、伝統芸能、美術など、様々なジャンルの催しを開催している。
②各区には定員350名程の文化小劇場があり、その中の5施設では、20年ほど前から、数カ月に1度の頻度で「ワンコイン(500円)シネマ」と称して、「往年の名作映画」、「懐かしの邦画」等のテーマで企画上映を行っている。
③映写は、昔は35ミリだったが、今はDVDとなっている。DVDの画質は鮮明とは言えないが、気楽に鑑賞する分には支障はない。
④好ましい点は、アスペクト2.35のシネスコサイズを、きちんと拡大上映していること。シネコンでは、ビスタサイズより小さな縮小上映している所が多いのに比べ立派である。
⑤本作は、港文化小劇場の令和7年度企画「主題歌で選んだなつかしの邦画特集」(2025.05.14)による。
2.辛口・レビュー◆◆◆ネタバレ注意
❶相性:上。
➋時代:1960年代。
❸舞台:神戸、横浜。
❹要旨:
①外国航路の船乗りの相良(石原裕次郎:32歳)は、恋人の秋子(浅丘ルリ子:26歳)にプロポーズし、神戸の教会で式を挙げるため待ち合わせる。
②だが秋子は、待ち合わせ場所に現れず姿を消してしまう。理由は後で示される。⑦
③4年後、相良は横浜でナイトクラブを経営しながら密航を斡旋する「逃がし屋」になっていた。
④ある夜、秋子が店にやってくるが、外国人の政治家グエン(二谷英明)の妻になっていた。
⑤グエンが緊急事態で祖国に帰国する必要が生じたので、秋子が相良に助けを求めに来たのだった。
⑥相良は拒否する。
⑦グエンが、4年前、秋子が約束の場所に行けなかった理由を、相良に話す。秋子は4年前、グエンの車に撥ねられ子供が産めない体になった。子だくさんを望んでいた相良の願いを叶えられなくなった秋子は、消息を絶ち、グエンと結婚していたのだった。
⑧全てを知った相良は、ヤクザと刑事を相手に命を懸けて夫婦を脱出させる。
★②はメロドラマの秀作『めぐり逢い(1957米)』(監督:レオ・マッケリー、主演:ケーリー・グラント、デボラ・カー)を、⑧はアカデミー賞(作品・監督・脚本)受賞の傑作『カサブランカ(1942米)』(監督:マイケル・カーティズ、主演:ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン)をベースにしている。
❺まとめ
裕次郎が、歌とアクションで大活躍。
ツッコミどころ満載だが、裕さんなので文句は言えない(笑)。
発声が悪くセリフが聞づらかったのが残念。
老けた?
ボギーと裕ちゃん
そんなバカなと言う展開
矢作俊彦に感化されて観ざるを得ないことになってしまった。
懐かしい映画会社。日活。ムード歌謡映画と言うべきなのか、無国籍映画と名付けるべきなのか・・・・まあ、そんなことはどうでもいい。
石原裕次郎がデブになってしまう直前。憧れのヒーローだった。赤木圭一郎。宍戸ジョー。小林旭。映画スターが存在していたし、スクリーンは銀幕と呼ばれていた。ナスタルジックなどと腐ったリンゴの気分ではなく、確かにカッコいい役者が存在していて映画が娯楽の帝王だった。芸術など糞食らえと言わんばかりにストーリーは天衣無縫に展開され僕は夢の中に放り込まれてしまっていた。
この映画が“カサブランカ”のパクリであろうがなかろうが構わなかった。
ラストシーンも「僕には思い出があるから、君は彼と行け・・・・」そうの給わなかった裕次郎。足の長さは想像以上に長かった。
石原裕次郎は、カッコいいし、浅丘ルリ子は超美人だが、
・題名の後半が「今夜も有難う」となっているから、
ハッピーエンドの映画と思ったら大違いだった。
・端的に書くと「密出国」の映画で、殺人事件付き。
別の題名でもおかしくない。(今回は、曲名に合わせて作った映画)
・ヤクザの抗争映画で、鶴田浩二や、高倉健主演の映画なら、殺人事件OKだが、
・石原裕次郎主演の映画なら、殺人事件の死者は、1~2人に抑えて欲しかった。
・車ではねた後、身元判明を恐れ、秋子(浅丘ルリ子)を4年間連れ回した
革命家のグエン(二谷英明)は、2人の人生をぶち壊した悪人だ。
ひき逃げ+誘拐犯 → 秋子が後日、同行に同意しても罪は残る。
(秋子の同意を、現在は「ストックホルム症候群」と呼ぶ。)
・及び、二谷の演技からは、革命家特有の度量や凄みや熱意が感じられない。
日本からの脱出を一市民に負んぶに抱っこでは、
「革命頑張れ」と応援する気になれない。
・二谷は医者とか先生とか、小市民の善人者は合うが、今回の役は不向きの感じ。
この映画では、棒読み役者の感じがした。
・意識が戻った後に、徹(石原裕次郎)に連絡をしない秋子も半分悪い、
涙ぐらいで騙されないぞ。
・コック役の高品格は良かった。
・裕次郎の歌唱が良かったので印象深い映画だが、鑑賞後、スッキリしない。
・また、浅丘ルリ子は、石原裕次郎と悲恋の映画が多い。
この映画の中の2人は可愛そうだった。
・最後に、この映画、出国部分が「カサブランカ=1942.11公開」と、ほぼ同じ
①女が2股で、男が2人出て来る、 ②出国で苦労する、
③男女2人が、非合法で出国、 ④霧の夜に出国、の部分
・石原裕次郎=ハンフリー・ボガート、 浅丘ルリ子=イングリッド・バーグマン、
二谷英明=ポール・ヘンリード、だな
裕次郎と浅丘ルリ子、神戸と横浜が舞台 最高の取り合わせです
メディアミックス
今では当たり前の手法
60年代にそれをやって大成功させているのだから凄いことです
歌謡曲のシングル版リリースとその歌のイメージに合わせた映画の公開
これをタイミングを合わせて展開する
本作もそれです
しかし映画界の斜陽化に伴い、石原裕次郎のメディアミックス路線も本作が最後になります
それだけに力も入っていて大変に面白い
素晴らしい出来映えの作品に仕上がっています
石原裕次郎と浅丘ルリ子
この二人が共演した映画はこれだけあるようです
1957年 鷲と鷹、今日のいのち、踊る太陽 お転婆三人娘
1958年 明日は明日の風が吹く
1959年 世界を賭ける恋、男が爆発する
1962年 銀座の恋の物語、若い人、憎いあンちくしょう
1963年 夜霧のブルース、太平洋ひとりぼっち、何か面白いことないか
1964年 赤いハンカチ、夕陽の丘
1965年 泣かせるぜ
1966年 二人の世界、帰らざる波止場
1967年 本作、波止場の鷹
1968年 昭和のいのち
1969年 栄光への5000キロ
1970年 戦争と人間 第1部、待ち伏せ、ある兵士の賭け
まだあるかも知れません
60年代のトップスターの二人であるのは間違いありません
浅丘ルリ子は赤木圭一郎や小林旭との共演も多いのですが、やはり石原裕次郎との共演が一番!
彼女の細くて小さな身体が、裕次郎の高身長とガッチリした体型との対比で一層可憐さが強調されるのです
そこに裕次郎の恋のライバルの二谷英明
スマートで余裕がありさらには知的、しかも強い
こいつには流石の裕次郎もなかなか敵わない
お話は悲恋となるパターン
もうこれ最高!
物語の骨格は良く知られるようにカサブランカの翻案ですが、決してその模倣にはなっておらず、脇役のキャラクターの立ち方が良くできており大いに楽しめます
しかも、お話が序盤の浅丘ルリ子の交通事故から始まります
銀座の恋の物語でも彼女が裕次郎との待ち合わせに急ぐあまり交通事故に遭い記憶喪失となって、失踪してしまう展開でした
え~、またこれかよ~!と観客は思います
そう思ってなめてかかって観ていくと、おおっ!という展開になり、こりゃどうなっていくんだ?とグイグイと興味を引き寄せられていくという仕掛けとなっています
つまり観客がほとんど全員、銀座の恋の物語を観ているであろうことを知っての上のこころ憎い作劇を仕掛けているのです
神戸からはじまり、横浜を舞台にハイカラムードで統一されていて貧乏臭さは皆無です
裕次郎が経営している設定のラウンジのインテリアの美術が素晴らしいです
音楽を今風のR&Bにしたら恵比寿辺りにありそうです
1周か2周くらい回って、今あったら是非とも遊びに行きたい感じのイケてるお店なのです
明るいベージュの色目のスーツに当時まだ珍しかった淡いブルーのカラーシャツ姿の裕次郎の格好良さったらありません
浅丘ルリ子はシリアスな表情のシーンが続きますが、中盤での長い台詞のシーンは見ものです
彼女の細い身体のカーブにピッタリとフィットした白いハイネックのワンピースが大変に美しく似合っています
現代でもこんなに骨格から美しい女優はそういません
コックの仙吉役の高品格、その娘ヒロミ役の太田雅子のちの梶芽衣子、ボーイでボクサーのビル役の郷鍈治、刑事役の佐野浅夫、アジア某国の革命家グエン役の二谷英明
それぞれエピソードも楽しく、銃撃戦、アクションシーンもあり全く退屈しません
夜の操車場、波止場のシーンでの撮影もカメラと照明が素晴らしい良い仕事をしていて明るく見やすい映像を撮っています
裕次郎が彼女との結婚の為に買っていた大粒の真珠の指輪
それを夜の海に捨てると跳ねがあがり、その泡が真珠のように光るのです
そして浅丘ルリ子の頬を伝う涙も真珠のように光るのです
その耳にも真珠のピアスが光ります
そして思い返すと彼女が身に付けていたのは真珠のブレスレットや真珠のネックレスだったのです
どうです!小粋だと思いませんか?
今もカラオケでお年寄りに大人気の主題歌は、序盤と終盤に歌入りで挿入されますが、その他の劇中では歌はなくジャズぽいゴージャスな良いアレンジで幾度か流れます
傑作の歌謡映画です!
神戸の海岸近くの馴染みのバーに行きたくなりました
ザ・昭和。それだけでいい。全編に流れまくる裕次郎の歌。裕次郎ファン...
夜霧よ今夜も有難う
裕次郎がボギー、横浜がカサブランカ
数ある裕次郎映画の中で、この作品をチョイスした理由は...単に主題歌が好きなだけで...。
ただ、裕次郎の映画には、外国映画の翻案もの、リメイクがけっこうあるのだけど、この作品はあの「カサブランカ」を丸ごとパクッたかのような作りをしていて、比較して見ると大変面白い。ちょっとあまりに無国籍すぎるかな、との印象はうけるのだけど...。
裕次郎はボギーに負けないかっこよさ、渋い演技で魅力的だが、浅丘ルリ子はバーグマンの足下にも及んでないところが、ちょっと...。あの匂いたつような色気があった人妻バーグマンには、当時の浅丘ルリ子にはムリだったのか。
結局、名作チョイスと言いながら、これに関してはあまり誉めませんでしたね...スイマセン
全10件を表示