楊貴妃のレビュー・感想・評価
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溝口監督作品なら、もっと高いレベルであって欲しかった
溝口研二監督作品なのだが、はっきりいって身が入ってないように感じた
美術は素晴らしい出来映えで、なる程溝口監督作品だと唸るレベル
ところが演出はなんとなく脚本通りに淡々とこなしただけに感じて心をうつ、魂を震わせる溝口作品とはとても言えない
その脚本も出来が良くない
駆け足で彼女の半生を追うだけでテーマ性が欠落している
長回しの映像もあるにはあるのだが、それで映画全体の構想を見通してここぞという使い方でもなく、ちょっとぐらい本気だしてみたというくらいにしか思えない
森雅之の玄宋皇帝は楊貴妃に操られる優柔不断な人間性に相応しく的確な配役であったが、肝心のヒロインの配役は溝口監督とは思えない
京マチ子は確かに美しい、官能的でもある
だが傾国の美女という頽廃の匂いや淫靡さがなく健康的なのはどうしたことか
ラストシーンは756年のこと
東大寺の大仏を建立した女帝の聖武天皇が崩御されたのも同じ年
毎年秋の正倉院展で見ることができる宝物の数々のイメージがこれでもかと展開されるのが見所
溝口監督初のカラー作品なのだが、その美術の美麗さを単に写すだけで、カラーでどのように撮るのかという小津監督のようなこだわりや研究をしたようにも感じれない
溝口監督ならもっともっと高いレベルの脚本、演出、撮影、配役のはず
気乗りしない映画であったのだろうか?
せつないラブストーリー
煌びやかさにうっとり見入り、せつないストーリーに引き込まれた。
少しも退屈せずに、納得のラストシーンまでテンポ良く進み、程良い余韻が残った。
また、祭のシーンに移った時、カメラアングルが素晴らしいので祭の迫力がグワッ!と伝わってくる。
庶民に混じって祭を楽しむ二人の姿がほほえましく、それがひとときの自由だと思うとまたせつなく…
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