夢千代日記のレビュー・感想・評価
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最後の場面、満開の桜の中で、吉永小百合が日本舞踊を踊るのが印象深い
1=この映画は、主に下記の3件が同時並行した映画=焦点が判り辛い
①左千子(夢千代)が被曝により短命、
②鉄道の死亡者が、自殺か他殺かの解明、
③殺人逃亡犯:宗方の逮捕
2=面白かったのは、温泉町スキー大会
芸者が、日本髪+着物+モンペ姿でスキー → 姿が面白い
3=最後に吉永小百合の件 → 元は、日活の女優
①日活が倒産、
②東映に出演(3本目)、
③吉永自身、この頃はテレビ出演も少ない
④なので、性交の場面もやる
・1965以降、映画産業が斜陽した、他社はアクション路線等に行ったが、
日活は、石原裕次郎や渡哲也等が退職の為、ポルノ路線に行った
→ 結局失敗し倒産 → 他には大映も倒産
・吉永が初めて東映映画「動乱:1980.1月公表」に出演した時のこと、
1979.3月マイナス8度のサロベツ原野で撮影があり、
長襦袢1枚で4時間木に吊るされ、仮死状態 → 可哀そう
・東映をイギリスとすれば、
吉永小百合は、フランスのジャンヌ・ダルク同様の敵将扱い
・日活が日本一の映画会社として存在していたら、
そんな撮影は多分ないだろうと思った
・ファンとしては、色んな役が観れて嬉しい面もあるが、
今回の性交の場面も?
4=この映画の評価 → 大きく感激する場面はないが印象深い場面、2つあり
満開の桜の中で、吉永小百合が日本舞踊を踊る姿 → 1番印象深い
芸者が、日本髪+着物+モンペ姿でスキー姿 → 2番目に印象深い
メモリアルにならなかった記念碑 吉永小百合の途中のマイルストーンだったのです
監督は浦山桐郎
彼の初監督作品はキューポラのある街
吉永小百合をスターにした映画です
そして本作が彼の遺作です
つまり吉永小百合に始まり、吉永小百合で終わったのです
吉永小百合は40歳
女性としての夏が終わろうという時期です
それがこの夢千代日記の完結とシンクロしています
あの時産んでおけば良かった
私には残すものがなんにもにゃあ
この台詞もまた彼女の人生とシンクロさせています
もう子供を生む年齢を過ぎようとしているのです
そして隠岐島での情熱的な口づけとエロチックな台詞に突き進みます
抱いて!抱いて下さい
あなたの命が欲しい、私の体の中に・・・
あなたの命を下さい
そして暗がりの中での、遠目で短いながら性行為の描写となるのです
テレビシリーズではプラトニックな関係止まりであったのに彼女から迫らせるのです
最高に美しい女としての吉永小百合を映像に残す
そして一区切りをつける
結局のところ、本作はそのような映画だったと思います
ところが監督も吉永小百合当人も、スタッフも、映画業界も、ファンすらも思いもよらないかったことが起こります
吉永小百合は年を重ねても美しいのです
劣化するどころか、年を重ねた美しさが増して行ったのです
それゆえに本作は区切りとはならなかったのです
普通の女優なら、本作がピークになってあとは老け役とかになり、出演も激減していくはずです
原節子は42歳で引退しました
ところが吉永小百合は、美しさを保ったまま女優の女王として君臨し続けているのです
本作はメモリアルにならなかった記念碑なのかもしれません
吉永小百合の途中のマイルストーンだったのです
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