劇場公開日 2020年8月14日

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「彼を産み出した「戦争」への落とし前」ゆきゆきて、神軍 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0彼を産み出した「戦争」への落とし前

2021年8月26日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

その昔、映画監督をしていた友人から「好きな作品だと思う」と薦められたのが本作だった。なるほど、“まだ解決はしていない”と向ける責任の矛先に共感したことを思い出す。戦中から戦後にかけた、教科書にも載せられない真実への糾弾。その“暴力の肯定”から過激化する恐れ知らずな言動は、偽らざる庶民の抱えた腹の内そのもの。それを割腹し、外へ記録として見せる事で、鑑賞者は恐れ、時に変質者として眺めるのかもしれない。しかし、彼の半生をこの様に変質させた原因、それは紛れもなく国家の行いによるものだ。彼には償いの意識があった。筋を通す様が幾つも映し出されていた。本当の悪人とは、正義の名の下、悪行を肯定しひた隠す、公の権力者達であろう。彼が示した行動、その記録が今も語りかけている、全てが解決したのか?と。

yutamuroki