雪国（1957）のレビュー・感想・評価

自分の年代のせいか、小説の静謐さがヒロインの甘ったすぎる男性目線の色気を求めた喋り方(原作の清潔な印象の駒子と全然違う気がします)や島村の棒読み(無為徒食・静かな感じを出したかったのかもしれませんが)が気になって仕方なく残念な印象。静謐さの中に情熱と苦悶がある感じをもっと上手く出せるだろうと思いました。特に最初の再会のシーンで髪や指を喰む描写は最悪でした。あえて直接的な艶かしさを除いて肉体関係を暗示している小説とかけ離れてると感じました。昔懐かしの美男美女鑑賞・懐古的快楽を享受したい人には良いのかもしれません。別に原作ファンでもなんでもありませんが、あまりにも消費されるための映画な気がします。

岸恵子の喋り方があまったるすぎた

モノクロなのにそれぞれのシーンの映像がとても美しい。駒子の可憐さと物哀しさ、健気さ、妖艶さ、余すところなく表現していく岸惠子に引き込まれた。女優を引き立たせると言われている池部良の所以がわかった。

北陸線や信越線を太平洋側から乗ると、確かに、長いトンネルを抜けると雪国になる。
駒子を岸恵子、島村を池辺良、葉子を八千草薫が演じるが、岸恵子の独壇場みたい。
ヘビーなメロドラマだが、女性の妖艶さ、可愛さ、狡さなどがうまく演じられ、島村ではないが、やはり駒子とは離れがたい。
監督は豊田四郎。

前半までは、良かったが、後半からは何かグダグタしてて残念だった。